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【SVはコンタクトセンターの要 #5】クレーム対応で「SV自身が疲弊しない」ためのマネジメント

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要約

なぜSVはクレーム対応で疲弊してしまうのか
疲弊の原因は、お叱りを受けること自体ではありません。SVが背負うべき責任が曖昧で、その受け止め方が人によって違うことに本当の原因があります。

SV個人の意識:出来事と感情を切り分ける
クレームはSV個人ではなく、企業や商品・サービスに向けられたものです。起きた出来事と自分の感情を切り分けるマインドセットが、心の穏やかさを保つ土台になります。

組織としてのフォロー:SVを一人で背負わせない
SVをすべての案件を解決する全権者として扱わず、組織全体で最後まで責任を持ちます。休日対応が必要になったときなどは、センター長が配置や休暇の調整でフォローします。

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概要

コンタクトセンターでは、オペレーターが対応しきれなかったクレームがスーパーバイザー(SV)に集まるのが一般的です。

特に、自分の力では解決できない事象と、お客さまの強い感情が重なると、対応は長期戦になり、SVは心身ともに消耗していきます。

本稿では、SVがクレーム対応で疲弊する本当の原因と、個人と組織の両面から取り組むべきマネジメントの考え方を解説します。

SVが長く現場に立ち続けられる環境づくりのヒントとして、ぜひお役立てください。

【“SVはコンタクトセンターの要”シリーズとは?】

コンタクトセンターの成果は、現場を預かるSVの動き方で決まります。ただし、SVが力を発揮できるかどうかは、その上に立つ運営側の設計次第です。

本シリーズでは、業界経験25年・コンタクトセンターのプロフェッショナルである関口さんに、「明日のコンタクトセンター運営のヒントになること」そして「SVが輝く組織をどうつくるか」について、9話にわたってお届けしていきます。

  1. 新人オペレーターが「自走できる」に変わる瞬間とは?
  2. 「品質改善」で成果を出す一歩目は…“立ち止まる”!?
  3. 予実管理の実態とは?
  4. 当日、突然のアクシデント…どう乗り越える?

スピーカー

関口 早奈恵

CRM本部WOWOW事業部コンタクトセンター課 WOWCOM College 兼務 | 業界経験25年、コンタクトセンター構築・運営事業に従事。カスタマーセンター札幌拠点の運営管理者として、クライアントとの折衝や施策立案~実運用までを担当。現在は管理者育成・テクノロジー活用の推進を中心に、運用の全体的な後方支援にも注力。

インタビュアー

原澤 耀

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。詳しくはこちら

なぜ、SVはクレーム対応で疲弊してしまうのか?

━━━コンタクトセンターの運営では、多くはオペレーターが受けたクレームのうち、対応しきれなかったものがエスカレーションされ、SVに集まってくるという構造になっています。そうした前提があるなかで、WOWCOMではSVがクレーム対応で疲弊しないために、組織として、また個人として、どのような仕組みや習慣、意識を持っているのでしょうか。

それをお伝えする前に、そもそもなぜクレーム対応で疲弊し、エネルギーを消耗してしまうのかを少し紐解いておきたいと思います。

一般的なクレームでは、お客さまの負の感情やネガティブな言葉を受けることになります。わかりやすく言えば、お客さまからお叱りを受けるわけです。これは決して気持ちのいいものではありません。

ただ、怒られること、お叱りを受けること自体が消耗の原因なのではありません。SVが自らクレームに対応するときに、背負うべき責任が曖昧になっていること、そして人によって責任の受け止め方が異なることが、消耗や疲弊を生むポイントなのだと考えています。

━━━本来背負わなくてよい責任まで背負ってしまうことも、要因の一つだということでしょうか。

はい、そう考えています。

責任の線引きと「コントロールできないクレーム」

━━━そうなると、具体的な対策としては、先に責任の所在を明確にし、線引きをしておくことが考えられますが、いかがでしょうか。

まさに責任の線引きが重要です。

多くのコンタクトセンターには、クレーム対応のマニュアルがあると思います。お客さまのご要望をどこまで受け止めて譲歩するのか、譲るのか譲らないのか、あるいは返金するのかしないのか。そうした線引きは、どのセンターにもあるはずです。

━━━前提として、どのセンターにもあるということですね。

ただ、その線引きだけでは終わらせられません。クレームでは、お客さまの怒りの感情をぶつけられるからです。

窓口の責任者として対応するSVは、責任を背負っています。その一方で、クライアント様から業務を受託しているセンターなどでは、SV自身の判断ではどうすることもできないことが多々あります。

この線引きこそが、最も消耗するポイントだと思っています。

━━━論理的な内容であればマニュアルどおりに対応すればよいものの、ぶつけられた感情をどう受け止め、どう対応を分けていくかが難しいということでしょうか。

そうですね。お客さまがお怒りになっているポイントについて、一個人としては「確かにこうなったら怒るよな」と理解できることもあります。それでも、窓口のSVという責任者の看板を背負っている以上、「そうですよね」とは言えない場面が多々あるのです。

━━━それはなぜでしょうか?

たとえば、システムトラブルでサービスが止まってしまった場合、一人のSVにはシステムの不具合をどうすることもできませんよね。

━━━コントロールできないクレームに感情が組み合わさると、言ってしまえば何もできないということですね。

そうです。お客さまにとっては重要で緊急度も高い。しかし、SVである自分一人の力ではどうすることもできない。「重要だけれど変えられない、コントロールできない」という2つの要素が組み合わさると、消耗が大きくなっていきます。

長期戦にならざるを得ないクレーム対応

━━━コントロールできることであれば、問題を解決してお客さまの感情を鎮めればよいわけですが、解決もできず、感情もぶつけられる場合はどうすればよいのでしょうか。

とにかくお客さまのお話を一生懸命お聞きし、お気持ちに寄り添います。そのうえで、窓口の責任者として今できることとできないことをひたすらお伝えし、少しずつご理解を得ていく。これはいわば長期戦です。

ですから消耗もしますし、疲弊もしていきます。時間がかかればかかるほど、どんどん疲れていくことになります。

━━━長期戦にならざるを得ない、というのが結論になるわけですね。

一度お話ししてもうまく収まらず「もう一度考え直して連絡してほしい」と言われてその日の電話が終わることもあります。ところが、考え直してもお客さまにご案内する結論は変わりません。結論が変わらないことを改めてお伝えしなければならないため、さらに疲弊していきます。

SV個人の意識「出来事と感情を切り分ける」

━━━長期戦になったときには、2つの軸があると思います。一つはSV自身がどのような意識や考え方、受け止め方をすればよいか。もう一つは、組織やチームとしてどうフォローするか。まずSV自身については、どのようにされていますか。

SV個人として対応するときに大切なのは、クレームはあくまでも会社や製品、商品、サービスに対する不平不満や苦情であり、対応しているSV個人が責められているわけではない、という認識です。

「自分がうまくできなかったからこうなってしまった」と自分を追い込まないことです。

クレームがあったという出来事と、それに対する自分の感情をきちんと切り分ける。そうすることで心も穏やかになります。これは、各自が持っている意識の一つだと思っています。

━━━クレームの矛先が個人ではなく事象に向いているという考え方は、武器やフレームワークではなく、マインドセットの問題ということでしょうか。

そうですね。実はオペレーターも、入社後に経験を積んでベテランになると、クレーム研修を受けます。そこでは切り返しトークのようなテクニックを学ぶのではなく、一般的なクレームは個人ではなく、企業やサービスに向けられているものだということを学びます。

オペレーター時代からそれを学んできているので、職位が上がってSVになっても同じだと、マインドをリセットするイメージですね。

組織としてのフォロー「SVを一人で背負わせない」

━━━切り返しのテクニックはさまざまにあるものの、クレームの矛先が個人に向いているのかどうかを切り分ける姿勢は、SVでもオペレーターでも変わらず、このマインドセットが重要だということですね。一方で、リーダーやセンター長、管理者などは、SVが長期戦で疲弊しないよう、組織としてどのように動いているのでしょうか?

組織としては、まずSVはすべての案件を解決する人、全権を持つ人ではないという考え方を持っています。その案件には、組織として最後まで責任を持って向き合うということです。

わかりやすく言えば、ある案件が長期戦になり、たとえば休みの日に日時指定で電話をかけるよう求められたとします。その場合でも、SVが休みを返上して、サービス残業のような形で出勤して対応するのではありません。周りが対応できるような配置になるよう、センター長がフォローします。

━━━今の例でいうと、休みの日に「この日に電話するから、あなたが対応してくれ」と言われて電話を終えた場合、社内ではどのように進めるのでしょうか。

まず、電話を終える前の段階での考え方があります。「自分は休みなので、その日は電話できません」とお客さまにお伝えするのは、社会人としてどうなのかという考え方もありますよね。

ただ、だからといって、自分が100%の犠牲を払わなければならないわけではありません。

社内事情を踏まえ、少し余裕を持って次回のアポイントを取るよう事前に伝えておきます。そのうえで、万が一その日にその人が電話をしなければならなくなった場合は、出勤してもらった後に、別の日に休みを取れないかをセンター長側で調整します。

そうやってバランスを取っていくようにしています。

センター長・管理者に求められる「ねぎらい」の意識

━━━SVもこうした選択肢を知ったうえで、組織として事前に仕組みを整えておけば、長期戦になっても対応できるということですね。それでは締めくくりとして、SVがクレーム対応で疲弊せず、できるだけ長く現場に立ち続けるために、コンタクトセンターの管理者やセンター長は今後どのようなことを意識すべきだとお考えでしょうか。

センター長の立場にある方々は、SVが上手にクレームを収めるのが当たり前だと思ってしまっているところが、少しあると思います。

もちろん役割としては当然のことです。しかし、それを「やって当然」としてしまうと、そこには成果を評価する仕組みもありません。

SV自身も達成感を得られず、疲弊してしまいます。ですから、SVがエスカレーションを受けてクレーム対応をしていることをきちんと把握し、ねぎらいのフォローをしっかり行う。これはぜひやるべきだと思っています。

━━━事象をコントロールできず、そのうえ感情をぶつけられたときに、それに完全に耐えられる人はおそらくいません。その前提に立つと、「当然」とされていることに対する意識が、センター長や管理者にも必要だということですね。コントロールできない事象と感情が重なる経験は、ご自身にもありますか。

そうですね。今は時代の変化もあって本当に少なくなりましたが、10年、20年前には、いわゆるクレーマーのような方もいらっしゃいました。かなり感情をぶつけられ、自分自身が責められているような気持ちになったことも多々あります。

ただ、それを続けていると本当に疲弊し、消耗して、燃えカスのようになってしまいます。出来事と感情をしっかり分けること、そして自分だけで背負い込まないことが大切だと思います。

カスハラ対策の義務化で現場はどう変わるか?

━━━収録は2026年8月ですが、2026年10月にはカスハラ対策の義務化が予定されています。最後に、今日のお話も踏まえて、10月以降、現場ではどのような変化があるとお考えでしょうか。

まず、接客窓口に立つ側からすると、ガイドラインが明確になることで、より働きやすく、安心して働ける環境になると思っています。

今はおそらく導入に向けた最終調整の段階だと思います。ただ、その後に訪れるフェーズとして、通常のクレームとカスハラの線引きが現場では非常に難しくなるのではないかと懸念しています。

今日のお話にもあったように、マニュアルはどの会社にもあるものの、感情とコントロールできない事象が重なると長期戦になります。

義務化によってマニュアルの前提もさらにアップデートされるのは良いことですが、現場ですぐに最適化できるかについては、まだ懸念が残ります。

まとめ:クレーム対応でSVが疲弊しないためのセルフマネジメント

クレームはSVに集まる構造
オペレーターが対応しきれなかったクレームはエスカレーションされ、SVに集まります。そのため、SVの負担を前提にした備えが必要です。

疲弊の原因は責任の曖昧さ
消耗の原因は、お叱りを受けること自体ではありません。背負うべき責任が曖昧で、その受け止め方が人によって違うことが本当の原因です。

コントロールできない事象と感情
「重要だけれど変えられない」事象に、お客さまの感情が重なったときに、SVの消耗は最も大きくなります。

長期戦を前提にする
解決できないクレームでは、できることとできないことを粘り強く伝え続ける長期戦を避けられません。

出来事と感情を切り分ける
クレームは個人ではなく、企業やサービスに向けられたものです。自分を責めずに、起きた出来事と自分の感情を分けて捉えることが大切です。

組織で最後まで責任を持つ
SVを全権者として扱わず、休日対応の調整などでセンター長がフォローし、組織全体で案件に向き合います。

「当然」にしないねぎらい
管理者はSVのクレーム対応を当たり前とみなさず、きちんと把握してねぎらうことで、SVの疲弊を防げます。

カスハラ義務化後の線引き
ガイドラインの明確化は働きやすさにつながります。一方で、通常のクレームとカスハラをどう線引きするかが、今後の現場の課題になります。

まとめ
SVが長く現場に立ち続けるには、個人が出来事と感情を切り分けるマインドセットと、組織が責任を分かち合いねぎらう仕組みの両方が欠かせません。

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