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【SVはコンタクトセンターの要 #1】新人オペレーターが「自走できる」に変わる瞬間とは?

更新日:
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要約

なぜ新人オペレーターの育成には時間がかかるのか(2つの理由)
入社者の年齢・経験・価値観の幅広さと、「知っている」と「理解している」の間にある隔たりが、育成に時間を要する根本的な要因です。

経験者ほど陥りやすい「運用ルールの違い」
個人情報の取り扱いなど、センターごとに異なる運用ルールが前職の癖と衝突し、経験者でも着台に時間がかかるケースがあります。

着台(デビュー)を判断する基準は「おもてなし」
チェック項目の遵守を前提としつつ、最終的には「お客さまに嫌な思いをさせないこと」という品質ポリシーが独り立ちの判断軸になります。

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概要

新人オペレーターを一日でも早く戦力にしたい。 

その一方で、育成にはどうしても時間がかかり、思うように着台まで進まないと悩むスーパーバイザーの方は少なくないはずです。 

なぜ育成には時間がかかるのか?その理由を掘り下げれば、短縮のヒントも見えてきます。

本稿では、25年以上の現場経験を持つスーパーバイザーへの取材をもとに、育成に時間がかかる理由・必要な期間・着台の判断基準、そして育成期間を短縮するための考え方を解説します。

明日からの研修設計を見直すきっかけとしてお役立てください。

【“SVはコンタクトセンターの要”シリーズ】とは?

コンタクトセンターの成果は、現場を預かるSVの動き方で決まります。ただし、SVが力を発揮できるかどうかは、その上に立つ運営側の設計次第です。

本シリーズでは、業界経験25年・コンタクトセンターのプロフェッショナルである関口さんに、「明日のコンタクトセンター運営のヒントになること」そして「SVが輝く組織をどうつくるか」について、9話にわたってお届けしていきます。

スピーカー

関口 早奈恵

CRM本部WOWOW事業部コンタクトセンター課 WOWCOM College 兼務 | 業界経験25年、コンタクトセンター構築・運営事業に従事。カスタマーセンター札幌拠点の運営管理者として、クライアントとの折衝や施策立案~実運用までを担当。現在は管理者育成・テクノロジー活用の推進を中心に、運用の全体的な後方支援にも注力。

インタビュアー

原澤 耀

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。詳しくはこちら

【2つの理由】なぜ、新人オペレーターの育成には時間がかかるのか?

━━━新人オペレーターの育成には時間がかかると言われますが、そもそもなぜ時間がかかるのでしょうか?

壮大なテーマですが、育成に時間がかかること自体は誰もが想像できる一方で、その核心にはあまり触れられてこなかったように思います。理由はさまざまですが、ここでは2点に絞ってお話しします。

1点目は、入社する方の年齢・経験・働き方・行動に対する価値観がそれぞれ大きく異なることです。

いわゆる新卒であれば、ある程度同じ方向を向いた方が入ってきますが、コンタクトセンターに入ってくる方は、この点で本当に幅が広いのです。そのため、一人ひとりの理解度や経験値が異なる中で同じことを教え、全員を独り立ちできる状態にまで導くには、どうしても時間がかかります。

━━━まず「出自が異なる」ことが1つ目の理由ということですね。2つ目もお伺いできますか。

コンタクトセンターで電話対応の仕事をすると聞けば、「電話を取る仕事だ」ということは誰もが知っています。

しかし、“知っている”ことと“理解している”ことの間には大きな隔たりがあります

入ってきた方々のその隔たりがどれほどあるのかを確認しながら、全員を“知っている”状態から“理解し、実践できる”状態へと導いていくには、やはり時間がかかるのです。

━━━その隔たりの大きさも、人によって異なるということでしょうか。

そうですね。働き方や年齢による違いに加えて、同じ“コールセンター経験者”であっても、一つとして同じコールセンターはありません。

そのため「私は経験者です。コールセンターのことは分かっています」と自認して入社してきたとしても、それはまだ“知っている”状態にすぎないのです。

実際に入社してみると、以前勤めていたコールセンターとは運用が全く異なる場合もありますし、前職では正しいとされていた話し方や対応方法を改めて修正しなければならないこともあります。その隔たりを理解し、実践できるようになることは、決して簡単ではありません。

未経験者の育成にかかる期間と研修の流れ

━━━全く経験がない方の場合、独り立ちまでに具体的にどのくらいの時間がかかるのでしょうか。

取り扱う商品や商材によって研修時間は変わりますが、私がいるセンターでは、入社からおよそ3〜4週間で独り立ちデビューをします。この期間を超えると、かえって時間がかかってしまうため、極力その期間内で独り立ちできるようにしています。

ただ、実際には予定どおりにいかないことの方が多く、例えば「96時間で独り立ちしましょう」という基準があっても、人によっては120時間、130時間と時間がかかってしまうこともあります。これは、コンタクトセンターの「あるある」だと感じられるのではないでしょうか。

━━━この3〜4週間という期間は、一般的なのでしょうか。それとも長い方なのでしょうか。

研修期間が2カ月や3カ月というところも多くありますので、3〜4週間は特別長い方ではありません。ただし、短期間で立ち上げなければならないコールセンターの場合は、早ければ1週間程度で着台してもらうケースもあります。

━━━それは、コンタクトセンター立ち上げ時の要望から逆算して計画しているのでしょうか。

そうですね。「これくらいの人数で、最低限これくらいは話せるようになってほしい」「これくらいのセールスができるようになってほしい」といった要件から逆算していきます。

まずは座学による知識のインプットを行いますが、知識の習得だけでも毎日7時間を平日5日間ほどかけることがあります。

その後、インプットした知識をもとにロールプレイへ進み、一通りのパターンを話せるようになった段階で評価を行います。

すぐに一人で対応させるのではなく、先輩社員についてもらいながらOJTを実施し、「ここまでできれば大丈夫だろう」という段階で独り立ちしてもらう、というのが一般的な流れです。

━━━「最低でもこれくらいの育成時間は欲しい」というのは、どのくらいの時間でしょうか。未経験者を採用する想定では、最低3週間は欲しいという感覚でしょうか。

3週間あれば、準備した内容に沿って進めることができますし、多少のイレギュラーがあっても、どうにか育成して着台まで持っていけると思います。

過去には、入社初日に知識のインプットを行い、翌日にロールプレイ、3日目の朝から独り立ちさせたこともあります。

ただし、それはどの電話でどの問い合わせが来るのかが完全に決まっていて、イレギュラーが発生しない案件でした。商材によっては、そのくらいのスピードで対応することも不可能ではありません。

━━━品質とのトレードオフは必ず起こると思いますが、それでもやはり3週間は欲しいということですね。

そうですね。インバウンドの場合であれば、3週間あればいろいろと手をかけられると思います。

コンタクトセンター経験者ほど陥りやすい「運用ルールの違い」の罠

━━━コンタクトセンターの経験者の方の場合は、未経験者よりも育成に時間はかからないものでしょうか?

もちろん、未経験の方と比べれば、経験者の方が早くデビューできることは多々あります。

その理由の一つが、機転の利かせ方です。お客様からの質問に答えられなくなったとき、未経験の方は無言になってしまうことがありますが、経験者の方は「確認いたしますので少々お待ちください」と伝えて保留ボタンを押すことができます。

「なぜこの商品はないのですか」と聞かれても、「申し訳ございません。あいにくご用意がございません」といった接客用語が自然に出てくる方もいます。そうした方はデビューも早い傾向があります。

ただし、運用ルールが大きく異なるセンターに入った場合は話が別です。どれだけ気の利いた切り返しができても、前職のルールから抜け出せずに苦労する方は少なくありません。

━━━具体的には、どのようなルールの違いがあると、経験者でも育成に時間がかかるのでしょうか?

よくあるのが、個人情報の取り扱いに関するルールの違いです。お客様から個人情報を伺った際、その内容によって情報を開示できる場合とできない場合があります。

例えば、ある会社では、ご本人からの電話であれば「氏名」と「生年月日」の2項目が確認できれば契約内容を開示してよいというルールだったとします。

その環境で働いていた方が、今度は「氏名」「生年月日」「電話番号」の3項目が揃わなければ開示してはいけないセンターに入社すると、前職の癖で2項目だけ確認して開示してしまうことがあるのです。センターから見れば、これは個人情報事故になってしまいます。

現場のスーパーバイザーは個人情報事故に対して非常に敏感です。そのため、こうしたルールがロールプレイの段階で徹底できていなければ、OJTに出すことはできません。

━━━3点確認すべきところを2点で開示してしまうパターンと、2点でよいのに3点確認してしまうパターンでは、どちらが多いのでしょうか。

前者です。

2点だけの確認で、つい情報を開示してしまうのです。例えば「いつもありがとうございます。●●様ですね。現在AコースとBコースをご利用いただいております」というように契約情報を伝えてしまうと、本来はルール違反になってしまいます。

━━━本来とは別のお客様の情報を話してしまう可能性があるということですね。コンタクトセンターごとにセキュリティの価値観やルールが異なるため、拠点ごとに前提が変わり、かえって経験者のほうが苦労するケースもあると。

その通りです。実際、入社されたオペレーターの方がロールプレイの際についつい情報を開示してしまい、「前の会社ではこれとこれを確認すれば開示してよかったので、癖が抜けないんです」とおっしゃることもあります。

━━━誰かが悪いというより、事前のルール理解や研修の徹底が重要で、最終的には監督者の責任になるということですね。そうすると、経験者でも最低限必要な期間は、未経験者とそれほど変わらないのでしょうか。

大きくは変わりません。

少しだけ早く進められるかな、という程度です。言葉遣いなど基本部分を省略できたとしても、その分の時間を過去の癖の修正に充てることになるため、結局は未経験者と同じくらいの期間が必要になります。

「知っている」と「理解している」の隔たりが生む適応の難しさ

━━━育成に時間がかかる2つ目の理由として挙げられた「隔たり」は、なぜ時間を要する要因になるのでしょうか。

「コールセンターの仕事は分かっている」という経験者の方であっても、セキュリティに関する細かなルールや、対応後に入力する履歴の記録方法などは、コンタクトセンターごとに異なります。

今の時代は自分で入力せず、AIが自動で対応履歴を作成してくれるセンターもあるかもしれません。このように、センターごとに運用方法は大きく異なるのです。

そのため、「コンタクトセンター業務を分かっている」と思って入社しても、セキュリティを含めた細かな運用ルール、スーパーバイザーの考え方、そのセンターが目指す方向性はそれぞれ異なります

結果として、これまで知っていたコンタクトセンターと新しく入ったコールセンターとの間に大きな隔たりが生まれ、そのギャップを理解して適応していくことが非常に大変なのです。

着台(デビュー)を判断する基準は「おもてなし」

━━━新人オペレーターを育成する際、どのタイミングで「手を離して着台させても大丈夫だ」「自立できている」と判断されるのでしょうか。

センターごとにデビューを判断する基準やチェック項目はある程度決まっており、チェックシートなどを用いて管理しているケースも多いと思います。

ただ、一言で言えば、私たちの品質ポリシーである「おもてなし」を軸に、「お客様に嫌な思いをさせないこと」が基準になります。

例えば、案内を間違えてしまっても、きちんと「申し訳ございません」と謝ることができるか。ご高齢のお客様に対して語気を強めて説明していないか。不慣れなために時間がかかってしまっても、「お時間をいただき申し訳ございませんでした」とお伝えできるか。そうした点を大切にしています。

もちろん、センターのセキュリティルールを守ることは大前提です。しかし、いくら運用ルールを守っていても、「おもてなし」の観点でお客様を嫌な気持ちにさせたまま電話を終えてしまうようであれば、スーパーバイザーとしてのデビューは見送ります。

━━━「お客さまに嫌な思いをさせないこと」を確認するためのチェック項目があるということでしょうか。

そうですね。コンタクトセンターのセキュリティルールを守れているか、必ず伝えるべき内容を伝えられているか、といったチェック項目があります。その中に、「お客さまに嫌な思いをさせないための行動ができているか」という観点も含まれています。

育成期間を短縮するためにできること

━━━育成期間を短縮するために推奨するアクションや考え方について、アドバイスをいただけますか。

まずは、現在行っている入社から着台までの新人研修が、本当に今のやり方で良いのかを一度疑ってみてほしいと思います。

何年も同じ商品やサービスを扱っているために、研修内容が何年も前のままになっているケースは少なくありません。座学もロールプレイもOJTも、デビュー判定基準も、形骸化してしまっていることがあります。

だからこそ、本当にこのやり方で良いのか、この基準でデビューした後に受け入れる現場のスーパーバイザーやリーダーが困っていないか、研修内容に過不足はないか。そうした点を一度疑ってみることをおすすめします。

さらに、研修そのもののあり方についても見直してほしいです。

今は講師がテキストを読み上げ続ける形式かもしれませんが、今の時代であれば、もっとデジタルツールを活用できるのではないでしょうか。

研修講師が喉を枯らしながら話し続ける必要は、本当にあるのか。そういったことも含めて、一度見直してみる価値はあると思います。

━━━座学の目的がインプットであれば、限定公開の動画を1.5倍速で視聴したり、AIを活用してクイズ形式にしたりすることもできますね。そうした新しい学習方法の可能性を見直すことが提案ということですね。

その通りです。学習方法の選択肢は広がっていますので、これまでの形式を前提にせず、目的に合った手段を柔軟に取り入れていくことが、育成期間の短縮につながります。

まとめ:新人オペレーター育成に時間がかかる理由と短縮のポイント

出自の違い
入社者の年齢・経験・価値観は幅広く、全員を同じ着台レベルへ導くには相応の時間がかかります。

「知っている」と「理解している」の隔たり
仕事を知っていることと、運用ルールを理解し実践できることの間には大きな差があり、その適応に時間を要します。

運用ルールの違いという落とし穴
個人情報の取り扱いなどセンター固有のルールが前職の癖と衝突し、経験者ほど苦労するケースがあります。

必要な育成期間
未経験者・経験者を問わず、インバウンドであれば最低3週間程度は確保したいところです。

着台の判断基準は「おもてなし」
チェック項目の遵守を前提に、「お客様に嫌な思いをさせないこと」が独り立ちの最終的な判断軸になります。

研修そのものの見直し
形骸化した研修を疑い、デジタルツールやAIを活用して学習方法を刷新することが、期間短縮の鍵となります。

まとめ
育成に時間がかかる理由を正しく理解し、現状の研修を疑うことこそが、品質を担保しながら着台までの期間を短縮する第一歩になります。

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