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【WOWCOM式 チームの動かし方 #3】「役割」と「期待値」のマネジメント…どうしてる?

更新日:
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要約

なぜ役割を決めても最適化されないのか
「何をやるか」と「誰がやるか」が決まっていても、「なぜやるのか」が共有されていなければ実行は生まれません。役割が機能しない原因の多くは、目的の不在にあります。

全体への期待値は数字を添えて具体的に伝える
「もっと良くしたい」といった解釈の幅が広い表現は避け、目指す数値と、それが達成されたときのメリットまで具体的に伝えることが重要です。

ソーシャルスタイル別「I-message(アイメッセージ)」の伝え方
同じ期待値でも、相手のソーシャルスタイルによって響く伝え方は異なります。4タイプそれぞれのアプローチとNG例を具体的に解説します。

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概要

メンバーの役割は決めたはずなのに、なぜかチームの動きが最適化されないと感じたことはないでしょうか。 

その理由は、役割分担の設計ではなく、目的と期待値の伝え方にあるのかもしれません。 

本稿では、数々の新規プロジェクトチームを立ち上げてきた経験をもとに、役割と期待値を最適化するためのコミュニケーションの実践方法を解説します。 

「言わなくても分かるはず」という前提が生む落とし穴から、ソーシャルスタイル別の伝え分けまで、明日から使える具体的な視点をご紹介します。

【WOWCOM式 チームの動かし方 シリーズとは?】

「WOWCOM式 チームの動かし方」は、厳しいコンタクトセンターの現場で培った「人を動かすノウハウ」を説くマネジメントシリーズです。AI時代に不可欠な組織実行力を高めるため、チームの「立ち上げ・運用・育成」の知見を深掘りします。

スピーカー

関口 早奈恵

CRM本部WOWOW事業部コンタクトセンター課 WOWCOM College 兼務 | 業界経験25年、コンタクトセンター構築・運営事業に従事。カスタマーセンター札幌拠点の運営管理者として、クライアントとの折衝や施策立案~実運用までを担当。現在は管理者育成・テクノロジー活用の推進を中心に、運用の全体的な後方支援にも注力。

インタビュアー

原澤 耀

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。詳しくはこちら

なぜ、役割を決めても最適化されないのか?

━━━役割は決めたものの、なかなか最適化が進まないという状態は、多くの現場で起こり得ると思います。そもそも、なぜ役割を決めても最適化されず、思うように機能しない状況になってしまうのでしょうか。

これは5W1Hの考え方に置き換えると分かりやすいと思います。

「何をやるか(What)」と「誰がやるか(Who)」は決まっている。しかし、なかなか最適化されず、動きもスムーズではない。言い換えれば、「実行する(Do)」が生まれていない状態です。

では、なぜDoが生まれないのかと考えると、「なぜやるのか(Why)」がないからです。

目的が見えないまま「とにかく走れ」と言われても、人は動きにくいものです。その結果、役割は決まっていても最適化されず、動きがスムーズにならないという状況が起こるのだと思います。

━━━リーダーが「走れ」と言ったところで、受け手のメンバーは「走れと言われても…」と感じてしまうことがあります。これは結果的に、リーダー自身がWhyを持っていないようにも見えてしまっている場合もあると思います。ご経験上、そのようなチームになってしまうきっかけや要因には、どのようなものがありますか?

私自身にも過去の失敗経験があります。Why、つまり「なぜやるのか」という部分は、言わなくても分かるだろうと思っていました。

一方で、それをあえて詳しく説明すると「みんなは分からないだろうから私が説明している」と受け取られてしまうのではないかという気持ちもありました。

その結果、あえて語らなかったことで、結局伝わっていなかったという経験があります。

━━━「言わなくても分かるだろう」という考えは理解できますし、一方で「詳しく語ることへの遠慮」というリーダー側の悩みもあるということですね。

そうですね。

少し気を遣い過ぎてしまい、このプロジェクトの目的をリーダーとして細かく説明すると、「僕たちはそんなことまで説明されないと分からないと思われているのではないか」と受け取られたら嫌だな、と考えてしまうことがありました。

━━━では結論としては、目的はできるだけ丁寧に伝えたほうが良いということでしょうか。

そうですね。伝えるだけではなく「伝わったかどうか」まで確認することが大切だと考えます。

━━━ネガティブな意味ではありませんが、ある程度しつこいくらい確認したほうが良いのでしょうか?

「しつこい」という表現が適切かは分かりませんが、こちらは「伝えた」と思っていても、実際には伝わっていないことがあります。

ですから、大切なのは「何を伝えたか」ではなく、「どう伝わったか」を確認することです。

例えば、プロジェクトが始まった後も、定期的に「今回のプロジェクトは何を目指しているのか」「なぜ取り組むのか」を確認しながら、「その目標から逆算すると今の進捗はどうか」「目標達成に向けて何に困っているのか」といった対話を挟んでいきます。

そうすることで、Whyにズレが生じていないかを定期的に確認していきます。

━━━目的を確認するコミュニケーションは、定期的に行うルーティンなのでしょうか。それとも「今このタイミングで確認しなければ」と判断した際に行うアドホックなものなのでしょうか。

プロジェクトを進めていると、必ず定例会や報告会がありますよね。そういった場では、数字を報告して「進捗は順調です」「数字はこうでした」といった内容だけで終わってしまいがちです。

そこで終わらせず、メンバーが集まっているその場で、確認した数字を踏まえながら、「このプロジェクトはなぜやるのか」「何のために取り組んでいるのか」という目的を改めて確認します。

その上で、「今の進捗の中で何か行き詰まっていることはないか」と確認し、そこで出てきた内容をもとに認識をすり合わせていきます。

━━━最終的に「何かヘルプが必要なことはありますか」という問いかけをする場合でも、その前提として「この目的があるから、何かヘルプはありませんか」と伝える流れが重要ということですね。

そうですね。その場の進め方や、ファシリテーションの部分になると思います。

「言わなくても分かるはず」が目的のズレを生む

━━━数々のプロジェクトを立ち上げてきた関口さんの場合「目的を意識した伝え方」は、無意識にできるようになっているのでしょうか?それとも、定例会などでは意識して実践されているのでしょうか?

ある程度無意識でやっていますが、これは先ほどお話ししたように、目的を伝えずに失敗した経験があるからです。

━━━その失敗経験から身についたアルゴリズムということですね。ちなみに、そのときはなぜ失敗してしまったのでしょうか。

本当に、「これくらいは言わなくても分かっているだろう」と思っていたことが一つです。

もう一つは、長年一緒に仕事をしているメンバーだったので、「きっと分かってくれているだろう」という期待値があったということですね。

━━━これは少し意外でした。新しく入った方や若手の方に対して目的を伝えていなかったのかと思っていましたが、むしろ長年一緒に仕事をしているメンバーのほうが、Whyが抜けてしまうこともあるのでしょうか。

私の場合は、そうでした。

━━━阿吽の呼吸に頼り過ぎていたということですね。その後、どのように修正されたのでしょうか?

何か違うな…と感じたことがきっかけで「同じ方向を向いているはずなのに、なぜこちらを向いていないのだろう」という違和感がありました。

そこで改めて「このプロジェクトはこういう目的で進めているけれど、皆さんはどのような目的だと理解して動いていましたか?」と聞いてみたんです。

そのとき「もしかしたら私がきちんと伝えられていないのかもしれない。あるいは、伝わっていないのかもしれない」という不安もありました。

実際に話を聞いてみると、残念ながら目的の部分はかなり曖昧でした。「これをやること自体が目的になっていて、その先に何のためにやっているのかまでは、あまり分かっていませんでした」という回答が返ってきて、とても衝撃を受けました。

━━━この記事をご覧になる方にはリーダーの方もメンバーの方もいらっしゃると思いますが、意外と慣れている人ほど注意が必要なのかもしれませんね。

そうかもしれません。

初めて一緒に仕事をする相手であれば、お互いに確認する機会も多くなります。一方で、長く一緒に仕事をしているメンバーだと、「分かっているはず」という前提になってしまい、確認が減ってしまうことがあるのかもしれません。

全体への期待値は数字を添えて具体的に伝える

━━━役割を決める以上、期待値を伝える場面は避けられないと思います。ただ、期待が強過ぎるとプレッシャーになりますし、弱過ぎると気が緩んでしまいます。この期待値については、どのような言葉でメンバーの皆さんに伝えているのでしょうか。

期待値については、大きく二つの視点があります。

一つは、プロジェクト全体に対する期待値です。例えば、「このプロジェクトを進めることで、会社やチーム、組織としてこういう成果につながる」という全体視点での期待を伝えます。

もう一つは、そのメンバー個人に対する期待値です。例えば「あなたの強みであるこの部分を活かしながら、このプロジェクトを通じてさらに磨いてほしい」という期待や、「今抱えている課題を、この経験を通じて乗り越え、自分の武器にしてほしい」という期待を伝えます。

そして最後に、押し付けにならない程度に、「私は、この経験を通じてあなたがこうなってくれたら素敵だと思っています」ということも伝えます。

「あなたはこうなるべきだ」という You-message ではなく、主語を「私」にした I-message(アイメッセージ)で伝えるようにしています。

━━━まず、全体視点での期待値についてです。この期待値を伝える際に、意識されていることは何ですか?

なるべく具体的に伝えることです。数字で表せるものがあれば、数字を添えて伝えるようにしています。

━━━なぜですか?

例えば、「残業が増えているので改善しよう」というプロジェクトを立ち上げるとします。

そのときに、「残業を減らしましょう」「業務を効率化しましょう」とだけ伝えても、自分事として捉えにくいですし、内容も漠然としています。

そこで「最終的にはこれくらいの数値を目指したい」「途中の段階でこれくらいまで減らせると、組織やチームにはこういう具体的なメリットがある」というように、できるだけ数字を添えて伝えるようにしています。

━━━全体に向けて伝えるからこそ、分かりやすさを重視されているということですね。

そうですね。「もっと良くしたい」「増やしたい」「減らしたい」といった、人によって受け取り方が変わる表現は、なるべく使わないようにしています。

━━━全体に向けたメッセージほど解釈の幅が大きくなりますからね。付き合いが長いからといって「いい感じでお願いします」といった伝え方をしてしまうと、100をイメージする人もいれば10をイメージする人もいて、前には進んでいるものの足並みがそろわないということが起こるわけですね。

そうですね。だからこそ、全員が同じ基準で理解できるように、具体的な数字で表現することを意識しています。

個人への期待値はデメリットを先に想定する

━━━もう一つお伺いしたいのが、個人に対する期待値です。個人に期待値を伝えるコミュニケーションで意識されていることは何でしょうか。

これは、日頃からコミュニケーションを取っている相手なのか、新しいメンバーなのかによって多少異なります。

ただ、新しい方でも長年一緒に働いている方でも、その人のパーソナルな強みや得意分野をある程度把握した上で伝えるようにしています。

その上で、「この取り組みを通じて、これを経験することで、本人にどんな価値があるのか」を伝えます。本人にとって「つらい」「大変」ということしかなければ、やる気はなくなってしまいます。

もちろん、つらい経験をすることはあるかもしれませんが、それを上回るもの、あるいは少なくともプラスマイナスゼロになるくらいのメリットを感じてもらえるようにしています。

そのメリットは、成長であったり、経験であったり、取り組むことの価値や意義だったりします。そうしたことを感じてもらえるような期待値の伝え方を意識しています。

━━━今までの自分を振り返ると、メリットばかりを伝えていた気がします。前提として「デメリットを上回ること」が大切という理解で合っていますか?

そうですね。デメリットを上回るか、プラスマイナスゼロになることですね。

━━━パーソナルを把握した上で考えるとのことですが、デメリットとメリットはどちらから考えるのでしょうか。まずデメリットを想定して、そこにメリットを積み上げるのか。それともメリットが先に浮かび、そこからデメリットを考えるのでしょうか。

私は、まずデメリットをある程度想定します。その上で、それをプラスマイナスゼロ、あるいはプラスに変えられるものは何かという順番で考えています。

━━━そのデメリットは、どのように想定されているのでしょうか?

新しいことに挑戦すること自体が、人によってはリスクですよね。

失敗すれば嫌な思いをするかもしれませんし、傷つくこともあるかもしれません。ただ、その経験から必ず何かを得られるものだと思っています。

とはいえ「必ず何か得られるから大丈夫」とだけ言っても、あまり説得力はありません。

故に「今回の経験を通じて、こういう経験が積める」「その経験は、苦労や大変さ、初めてだからこそ行き詰まることもあるかもしれないけれど、将来的にはこういう業務につながる」と、できるだけ具体的に伝えるようにしています。

また、前任者の中にも同じような経験をした方がいるので、そうした事例も交えながら「そこまで怖がらなくて大丈夫ですよ」という形で伝えています。

━━━メンバーの方は脳裏ではデメリットを感じているものの、それを上回る、あるいはプラスマイナスゼロにできるメリットがあるからこそ、乗り越えられるということですね。

スタートの時点でデメリットを完全に打ち消せるケースは、ほとんどないと思います。ただ「怖いけれどやってみよう」「一歩踏み出してみよう」と思える状態にはできると思っています。

━━━そのデメリットが何になるかは、その人のパーソナルやソーシャルスタイルによって変わってくるということですね。

そうですね。まず相手にとってのデメリットを捉え、それを少なくともプラスマイナスゼロ、できればプラスに転換できるようなコミュニケーションを意識しています。

ソーシャルスタイル別「I-message(アイメッセージ)」の伝え方

━━━先ほど「私はこうなったら素敵だと思う」という「 I-message(アイメッセージ)」を意識しているとおっしゃっていましたが、なぜその伝え方をされているのでしょうか?

期待値を伝える場面でもありますし、一緒に仕事をするチームだからこそ、その伝え方を大切にしています。私自身がそう言われて嬉しかった経験がありますし、それがモチベーションにつながった経験もあるからです。

━━━ご自身がメンバーだった頃の経験に基づいているということですね。そのような考え方は、先輩や師匠、あるいはメンターのような方から学ばれたのでしょうか。

メンターというよりも、この会社に入ってからの経験ですね。

仕事を任されるときに「こういう目的で取り組んでいて、この経験を通じて、最終的にはこういうことができるようになる。それが将来こういう武器になると思っている」と言われたことがありました。

さらに「私はそう思っているよ」と伝えてもらったことで「期待されてこの仕事を任されているんだな」と、自分自身のマインドセットをつくりやすかったんです。

一方で、「お前にはこうなってほしい」と押し付けられるような言い方ではなかったことが、私にはとても嬉しかったですね。

━━━そこはとても大事なポイントですね。私は普段「あなたにはこうなってほしい」と伝えてしまっている気がします。

もちろん、その伝え方が嬉しい人もいると思いますよ。

━━━全員が同じように受け取るわけではないということですね。

そうですね。

以前お話ししたソーシャルスタイルにも通じますが、人によって受け取り方は異なります。ストレートに「こうなってほしい」と伝えたほうが響く人もいますし、そうではない人もいます。

そうではない場合には、押し付けやプレッシャーと受け取られないように「私は、そうなったらいいなと思っている」というアイメッセージで伝えるようにしています。

━━━ソーシャルスタイルは4つあると思いますが、それぞれに合ったアイメッセージの伝え方はありますか。

例えば、ドライビングタイプの方は、自分で決めたいという傾向がありますよね。そうしたタイプであれば、「私はあなたにこうなってほしいんだよね」という言い方は、あまりしないと思います。

例えば「このプロジェクトはあなたにお願いしたいと思っています。あなたのこういう強みを活かせると思ったからです。

私は、この経験が今後のあなたに活かされると素敵だなと思っているので、一緒に頑張っていきましょう。」というような伝え方になります。

━━━ドライビングタイプの場合は、あえて本人に主体的に走ってもらうような伝え方をするわけですね。逆に、コントロールしようとしたり、握ろうとしたりすると、あまり動かなくなってしまうということですね。

そうですね。これまでの経験からすると、「私はこう思っているのだから、その期待に応えるように頑張ってください」という伝え方は、あまり良くないと思っています。

━━━では、次はアナリティカルタイプについて教えてください。

アナリティカルタイプの方にも「私はこうなってほしい」という押し付けるような伝え方は、あまりしないようにしています。「こうなってほしい」という表現は、こちらの願望や感情が中心になりますが、アナリティカルタイプの方は、感情論で動く傾向はあまりありません。

そのため「この経験を通じて、こういうことが経験できると思います。その経験は今後役に立つはずだと、私は考えています」というように、事実や経験を軸に伝えるようにしています。

━━━逆に、アナリティカルタイプの方に対するNGなアプローチはありますか。

「いい塩梅で」といった抽象的な表現は、なるべく使わないようにしています。例えば「この経験はきっと役に立つから」と伝えると、「『きっと』とはどういうことですか」と受け取られる可能性があります。

━━━ドライビングタイプの方であれば「きっと」と言われても自分なりに解釈して進められますが、アナリティカルタイプの方には、むしろこちらが具体的な基準や尺度を示したほうが伝わりやすいということですね。

そうですね。

━━━では、エミアブルタイプの方には、どのような伝え方がおすすめでしょうか。

エミアブルタイプの方には、まず感情に寄り添うことを大切にしています。不安な気持ちもあるでしょうし、一方で挑戦したいという気持ちもあると思います。

ですので「もし今、不安に感じていることがあるのであれば、私は一緒に伴走していきます。一緒に進めていけたらいいなと思っています」というような伝え方をします。

━━━「一緒」「伴走」というような言葉がキーワードになるわけですね。逆に、NGな伝え方は何でしょうか。

「自分の思うようにやってね」「好きなようにやっていいよ」という伝え方ですね。

エミアブルタイプの方は、自分が思う「好きなように」と、上司が期待している「好きなように」が違うのではないかと考え、相手に合わせようとしてしまうことがあります。期待に応えようとするあまり、自分の気持ちを抑えてしまう傾向があるんです。

共感性が高いタイプだからこそ「自走してね」「任せるよ」と伝えるだけではなく「任せるけれど、一人で抱え込む必要はないよ。周りには協力してくれる人がたくさんいるよ」ということを一緒に伝えるようにしています。

━━━役割そのものは任せた上で「一緒にいる」「伴走する」ということを明確に伝えることが、本人が安心して役割を果たし、自走していくためのきっかけになるということですね。逆に「もう任せたから自由にやってね」という放任になってしまうと、不安が強くなり、結果として自走できなくなってしまうという理解でよいでしょうか。

そうですね。

━━━それでは最後に、エクスプレッシブタイプの方の場合はいかがでしょうか。

エクスプレッシブタイプの方は、ノリや感情で動くことが多いタイプです。そのため、このタイプに関しては、I-message でも You-message でも、どちらの伝え方でも良いと思っています。基本的には、「自分が思うようにやってみて」と伝えます。

ただ、常に勢いよく進めるタイプというわけではなく、感情の波や気分によって、「やりたい」「やりたくない」「うまくいく」「うまくいかない」といったムラが出る可能性もあります。

そのため「もし行き詰まったら、一度立ち止まって相談に来てね」と伝えたり、ある程度自由に進めてもらいながらも、ムラが出ないようにフォローしていきます。

━━━「ムラが出ないようにフォローする」というのは、具体的にはどのようにされているのでしょうか。

エクスプレッシブタイプの方は、自分の得意なことには積極的に取り組んでくれます。一方で、気持ちが乗らなかったり、後回しにしてしまったりすることもあります。

そういう様子を見ながら「必要なときにはフォローするよ」という姿勢で関わっています。つまり、「好きなようにやっていいけれど、こちらでもちゃんと見ているよ」という状態ですね。

━━━最後の「ちゃんと見ているよ」というところがポイントなんですね。完全に自由に任せて「もう何も見ていません」ということではなく、見守っている中で自由にやってもらうということですね。

「見ているから、安心して好きにやっていいよ」というイメージですね。

役割と期待値を最適化するために明日からできること

━━━リーダーにとって「役割」と「期待値」を最適化することは、成果を出すために欠かせないことだと思います。明日からリーダーが意識すべきコミュニケーションやマネジメントとして、役割と期待値を最適化するために最も大切なことは何でしょうか?

まずは担当や役割だけを伝えるのではなく、そこに期待値を具体的な言葉で、かつ相手が理解できる言語で伝えていくことが重要です。

また、一度伝えたから伝わっているだろうと考えるのは危険であり、定期的に確認し、すり合わせを行っていくことが必要だと、経験を通じて感じています。

━━━最後の「定期的にすり合わせる」という点は重要ですね。特に日本には「阿吽の呼吸」という言葉があるくらいですから。

本当にそうですね。

定期的に確認をしなかった結果、「期待していた内容と違った」と、リーダーが勝手に落胆してしまうことが起こるのではないでしょうか。

まとめ:役割と期待値を最適化するリーダーのコミュニケーション

Whyが実行を生む
「何を」「誰が」が決まっていても、「なぜやるのか」が共有されていなければ実行は生まれません。役割が機能しない原因の多くは、目的の不在にあります。

伝えたではなく伝わったか
長く一緒に働くメンバーほど「分かっているはず」という前提が生まれ、確認が減ります。定期的に目的を問い直し、認識のズレを検知することが必要です。

全体には数字で語る
解釈の幅が広い表現は、人によって受け取る基準が変わります。目指す数値と、そこに到達したときのメリットをセットで具体的に伝えます。

個人にはデメリットから設計する
まず相手にとってのリスクや負荷を想定し、それをプラスマイナスゼロ、あるいはプラスに転換できる価値を示すことで、一歩踏み出せる状態をつくります。

相手の受け取り方に合わせる
同じ期待値でも、ソーシャルスタイルによって響く言葉は異なります。押し付けにならないアイメッセージと、タイプ別の伝え分けが有効です。

すり合わせを仕組みにする
役割に期待値を添えて伝え、それを一度で終わらせず定期的に確認する。この繰り返しが、リーダーの落胆とメンバーの迷いを防ぎます。

まとめ 役割と期待値の最適化とは、担当を割り振ることではなく、目的と期待を相手の言語に翻訳し、伝わり続けている状態を保ち続けるマネジメントそのものです。

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