【WOWCOM式 チームの動かし方 #2】メンバーが「同じ方向を向く」ためのコミュニケーションとは?
目次
要約
リーダーの「熱量」とは、Why・How・Whatを語り切ること
熱量とは熱血さや勢いではなく、「なぜやるのか」というWhyに込められた想いを指します。ただしWhyだけでは人は動かず、ビジョン・Why・How・Whatをセットで伝えて初めて同じ方向を向くことができます。
失敗から学んだ、「小さい弱音」を引き出す対話
本人の適性を見立ててチャレンジを任せた結果、期待に応えるプレッシャーだけが残ってしまった失敗事例を紹介します。一度合意を取って終わりにせず、聞き方を変えながら対話を重ねることの重要性を語ります。
コミュニケーションは「量と質のバランス」で決まる
まとめて伝えれば動ける人もいれば、短いスパンで対話を重ねて腹落ちさせる人もいます。相手のコミュニケーションスタイルを把握した上で、量と質のバランスを取ることが最も大切だと結論づけています。
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概要
チームで同じ目標を掲げているはずなのに、メンバーの方向性がなかなか揃わない。 そう感じているコンタクトセンターの管理者やリーダーの方は少なくないのではないでしょうか?
本稿では、チームを同じ方向に向かわせるために必要なビジョンの語り方と、日々のコミュニケーションの工夫について解説します。
キャリア設計における実際の失敗経験や、メンバーから「小さい弱音」を引き出す対話の重ね方まで、現場ですぐに実践できる考え方をお伝えします。
コンタクトセンターを問わず、明日からのメンバーとの向き合い方を見直すヒントが得られるはずです。
【WOWCOM式 チームの動かし方 シリーズとは?】
「WOWCOM式 チームの動かし方」は、厳しいコンタクトセンターの現場で培った「人を動かすノウハウ」を説くマネジメントシリーズです。AI時代に不可欠な組織実行力を高めるため、チームの「立ち上げ・運用・育成」の知見を深掘りします。
※本編は“WOWCOMポッドキャスト”をテキスト化した内容です。またサムネイル画像およびYouTube内の画像にはDALL·E 3を使用しています。
一度ビジョンを語っただけでは、全員が同じ方向を向かない理由
━━━チームを動かすうえで、メンバーとの会話はコミュニケーションの必須条件だと思います。現場でメンバーの方向性がなかなか一致しない場合、それを揃えるために、具体的にどのようなコミュニケーションや会議の進め方を工夫されていますか。
まず、同じ方向を向くためには、ビジョンをしっかりと語ることが重要です。ここが最初の一歩になります。
━━━ビジョンを語れば、全員が一度で同じ方向を向くものなのでしょうか。
いいえ、そうはなりません。
━━━なぜでしょうか。
ビジョンを語る側ではなく、それを聞くメンバーの立場で考えてみると、ビジョンには強い想いが込められていることが多いものです。その熱量に触れて感情が動き、「自分も同じ方向を向こう」と思う人もいます。
しかし、その熱量ですべての人の心が動くわけではありません。
人それぞれ価値観が異なるため、まったく響かない人もいますし、その場では共感しても翌日には忘れてしまう人もいます。また、ビジョンに共感しただけで終わってしまい、実際の行動には移らない人もいます。
そのため、一度ビジョンを語っただけで全員が同じ方向を向くというのは、現実的には難しいと考えています。
リーダーの「熱量」とは、Why・How・Whatを語り切ること
━━━ここで「熱量」という言葉が出てきましたが、これはチームの動かし方の大前提になるように思います。熱量のないリーダーでは、この考え方自体が成り立たないのではないでしょうか。その場合はどうすればよいのでしょうか。
「熱量」というと、熱血で勢いのある人をイメージされるかもしれません。もちろんそういうタイプもいますが、それだけが熱量ではありません。
大切なのは、ビジョンに対する伝える側の想いや、「なぜそれをしなければならないのか」というWhyの部分です。そのWhyがしっかりと含まれていることが、ビジョンを語る際の最低条件だと思います。
━━━Whyを語れるかどうかということですね。
Whyを語れることは大切です。ただ、Whyだけを語っていても、結局は熱量だけで終わってしまいます。Whyだけで人を動かすことは難しいのです。
「なぜこれをやるのか」「どうしてこれをやるのか」「なぜこの取り組みを行うことになったのか」といったビジョンやストーリーを語るだけでは、ビジョンを伝えただけで終わってしまいます。
そのため、それを実行することで得られる効果や未来、メンバーひとりひとりが得られるものまでしっかり伝えた上で、HowとWhat、つまり「どうやってやるのか」「何をやるのか」をセットで伝えることが重要です。
どれか一つでも欠けてはいけません。
ビジョンがなく、WhyとHowだけを語っても、「これは何のためにやるのか」が分からず、やること自体が目的になってしまいます。この3つが、同じ方向を向くためには必要な要素だと思います。
AI時代にリーダーが担うべき役割
━━━少し意地悪な質問になりますが、「なぜやるのか」というストーリーを伝えるだけであれば、今はAIでもできますよね。自動音声で録音して「これを聞いておいてください」と流すこともできます。そうした時代において、リーダーが熱量という観点で引き続き担うべき役割、あるいは表には出さなくても意識しておくべきことは何だとお考えですか。
本当に伝えるだけであれば、AIが自動音声で読み上げれば済みますし、HowやWhat、つまり何をやるのか、どうやるのかについても、AIが伝えてもよいと思います。
ただ、今のところ私たちは人と人との関係の中で仕事をしています。そのため、「この人に言われたから、高い壁だけれど挑戦してみよう」と思えることには価値があります。
また、自分がそれに取り組むことで何が得られるのか。経験なのか、知識なのか、それとも別の何かなのか。そこまで含めて、一緒に仕事をするメンバーに直接伝えることには、今の時代でも十分価値があると考えています。
失敗から学んだ、「小さい弱音」を引き出す対話
━━━「この人に言われたから」という部分は信頼関係などの前提条件によって変わりますが、「自分がこれをやることでどうなるのか」という受け手側の視点は、マネジメント経験のある立場としても実感があります。メンバー一人ひとりの将来設計に近い部分まで一緒に考え、サポートすることが必要ではないかと思うのですが、そうした「自分がやることで何を得られるか」の設計について、失敗されたことはありますか?
もちろんあります。
━━━話せる範囲で構いませんが、メンバーのキャリア設計に関わる際に、過去の失敗を踏まえて「これは絶対にしない」と決めていることはありますか。
この仕事を長くやっていると、日頃の仕事ぶりや進め方を見て「この方はこういうキャリア志向なのではないか」と、ある程度こちらで見立てをすることがあります。
その見立てをもとに、「この仕事が向いているのではないか」と考えてチャレンジを任せたところ、その方は期待に応えようと頑張ってくれました。
ただ、結果として本人にとっては、そのチャレンジ自体がとても辛いものでした。期待されていること自体は嬉しかったものの「期待に応えなければならない」というプレッシャーの方が強くなってしまい、「やってはみたけれど、やりがいは残らなかった」と言われたことがありました。
かなり前の出来事ですが、その経験は今でも強く印象に残っています。
━━━設計段階では「このチャレンジがその方の成長や利益につながる」と考え、ご本人とも合意を取ったわけですよね。それでも見立てが違ったということでしょうか。
見立てが違ったのかもしれませんし「できません」と言うことが恥ずかしかったのかもしれません。「できないと言う自分にはなりたくない」という思いがあったのでしょう。
その方は本当に頑張り屋さんでしたし、チャレンジすること自体が嫌だったわけでもありません。ただ「期待に応えなければならない」というプレッシャーが非常に大きく、「少し辛かったです」と後から話してくださいました。
━━━その場合、リーダーはどうすればよいのでしょうか。提案する際に、その人の心理を完璧に見抜くことは難しいと思います。何らかのチャレンジをした結果、ネガティブな状況になってしまったことが会話や面談を通じて分かったとき、どのような返答を心がけていますか。
随分前の経験ではありますが、その時の反省を踏まえると、一度合意を取って「よし、やろう」となったとしても、定期的に「今やっている中で何か気になっていることはある?」「不安なことはある?」と確認するようにしています。
ただ、そのように聞くと、多くの場合は「ありません」という返答になります。
そのため、「進める上で何か引っかかっていることはある?」「少しでもやりづらいと感じていることはある?」というように、聞き方を変えながら対話を重ねることを意識しています。
━━━一度聞いて終わりではなく、細かく対話を重ねながら探っていくということですね。理想的な状態とはどのようなものでしょうか。日頃から細かくコミュニケーションを取り、メンバーから「実は……」と自発的に相談してもらえる状態が理想なのか。あるいは決めた計画どおりに淡々と進むことなのか、結果を出すことなのか、そのすべてなのでしょうか。
その方が将来的に、自分も部下を持ってフォローする立場になることを前提に考えると、コミュニケーションの質だけではなく、量を重ねて頻度を上げていく中で、「実はここが自分の中でうまくいかないんです」「ここがうまくいかなくて困っているんです」といった小さい弱音を出せるようになった方が良いのではないかと思います。
━━━「小さい弱音」というのは良い言葉ですね。もちろん大きな弱音を言ってもよいのですが「自信がない」と一言で言っても、細分化すればいろいろな要因がありますからね。
コミュニケーションは「量と質のバランス」で決まる
━━━今回のテーマの締めとしてお伺いします。これまでの失敗経験も踏まえた上で、メンバーが同じ方向を向くためのコミュニケーションで、一番大事だと思うことを一つ挙げるとしたら何でしょうか。
量と質のバランスですね。
一度まとめて伝えて、あとは自由にやりたいというタイプの方もいれば、短いスパンでコミュニケーションを重ねながら理解を深め、腹落ちさせていくタイプの方もいます。人それぞれ異なるため、その方に合わせて日々コミュニケーションを繰り返していくことが大切です。
また、以前にもお話ししたとおり、コミュニケーションの手法としては、その方のコミュニケーションスタイルやタイプをある程度把握した上で、それを意識しながら会話を重ねていくことが重要だと思っています。
最初の熱量で「これだ」と思って一気に突っ走る方もいらっしゃいます。
ただ、そのまま突っ走っていると、後から「すみません、事故りました」と戻ってくることもある。本当は走る前に相談してほしいですよね。
一方で、本当は自信がなくても言えなかった、相談できなかったという方もいます。そういう方には細かくコミュニケーションを取り、「小さい弱音」を引き出していく。
つまりリーダーは、コミュニケーションの量と質の両方のバランスを見ながら相手に合わせて関わり、勢いよく走る人は、ときには止めることも必要です。
まとめ:チームが同じ方向を向くためのリーダーのコミュニケーション
ビジョンが第一歩
メンバーの方向性を揃えるには、まずリーダーがビジョンをしっかりと語ることから始まります。
一度では届かない
価値観は人それぞれ異なるため、一度ビジョンを語っただけで全員が同じ方向を向くことは現実的に難しいと言えます。
Why・How・Whatをセットで
熱量とは勢いではなくWhyに込めた想いであり、ビジョン・Why・How・Whatのすべてが揃って初めて人は動きます。
AIに代替できない価値
「この人に言われたから挑戦してみよう」と思える関係性と、本人が得られるものを直接伝えることは、人が担うべき役割です。
期待はプレッシャーにもなる
見立てで任せたチャレンジが本人の負担になることもあるため、合意後も聞き方を変えながら対話を重ね、小さい弱音を引き出すことが必要です。
量と質のバランス
まとめて伝えれば動ける人も、短いスパンで腹落ちさせたい人もいるため、相手のタイプに合わせて量と質を調整することが最も大切です。
まとめ
チームを同じ方向に向かわせるリーダーシップとは、正しいビジョンを一度語る力ではなく、相手に合わせて対話を重ね続ける力そのものだと言えます。
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