
マーケティング
実はこんな違いがある、「分析」と「解析」
マーケティングにおいてデータを扱う際などによく使われる「分析」や「解析」という言葉。日常的に目にするものでありながら、その違いがよくわからないという方もいるかもしれません。今回は、「分析」と「解析」の意味やそれぞれの目的、ビジネスで使える手法についてお伝えします。
分析と解析の違い
まず、一般的に「分析」「解析」という言葉は、それぞれどのような意味を持つのでしょうか。それぞれの意味を短い言葉でまとめると、次のようになります。
- 分析
物事を分解して(細かな要素に分けて)、その性質、構造などを明らかにすること。 - 解析
物事を細かく解き開き、組織的、理論的に研究すること。
これらの定義をもとに、マーケティングにおける「データ分析」「データ解析」の意味や目的についても見ていきましょう。
分析と解析、それぞれの目的
マーケティング活動のなかで「データを集めて業務に活かしたい」場合、まずは「データ収集」を行います。その手段はさまざまです。例えば、「ツールを使用してWeb上のデータを自動的に収集する」「アンケートやインタビューなどを通じて集めた情報をデジタルデータ化してツールに蓄積する」といった方法があります。
次に、こうした手段で集めたデータの「分析」を行います。データを分析するということは、そのデータがどんな要素で成り立っているか、細かく確認することです。さらに、必要に応じて行うのが「解析」です。データを解析するということは、データの構成要素を理論的に調べていくということになります。
データの「分析」も「解析」も、ツールを利用して自動的に行う場合もあれば、アナログ的な手段も混ぜながら、手動で行うこともあるでしょう。いずれにしても、それぞれ次のような目的があります。
- データ分析の目的
現状のデータ(数字)を知る(どんな要素があるか、細かく調べる)。 - データ解析の目的
なぜそのデータ(数字)になっているのか、その原因を探る。
一例として、「あるWebページの直帰率は70%、離脱率は65%」と結果を得る作業は「データ分析」にあたりますが、なぜ直帰率が70%と高めなのかを調べるのは「解析」ということになります。解析によって「直帰率が高く、滞在率が短いので、そもそもユーザーのニーズとページの内容があっていないのではないか?」「直帰率が高いのは紛らわしい広告が入っているからではないか?」といったことを探ります。
ビジネスで使える手法
分析と解析についての理解を深めたところで、改めてビジネスで使えるデータ分析、データ解析方法をいくつか見てみましょう。ビジネスの課題に応じて、使い分けることが大切です。
- アクセス解析
特定のアクセスの傾向やアクセスに関する現象などについて、原因を探るのがアクセス解析です。主にWebサイトのコンバージョン率の向上を目的として行われており、ユーザーの年齢、性別、最初に見たページ、流入経路といったデータから、Webサイトの課題を発見します。 - RFM分析
Recency(最終購入日)、Frequency(購入回数)、Monetary(購入金額)の三つの軸で顧客を分析するRFM分析は、これらのデータをもとに顧客のセグメンテーションを行い、どの顧客にどんなアプローチを行うかを決めます。 - 回帰分析
回帰分析とは、ある変数が他の変数とどんな相関関係にあるのかを推定する統計学的手法のひとつ(「デジタル大辞泉」より)。例えば、「ある商品は、家族の数が多くなると購入量が多くなる」といった相関関係を調べられます。 - クラスター分析
データに含まれる情報を、類似性によって分類するのがクラスター分析です。分類した各グループ(クラスター)に対して、その特性に合ったプロモーションやアプローチを実行することができます。
データの意味を正しく理解する
分析や解析によって得られたデータは、意味を正しく理解して活用することが大切です。近年、ビッグデータの活用が注目されていますが、目的や手法が不明瞭では効果が得られません。まずは基本となる分析と解析の違いを理解し、それぞれの分析または解析手法によってどんな意味を持つ数字が得られるのかを、いま一度確認しておきましょう。
参考: