DATA MARKETING
データマーケティング

【メーカーのLTV構築事例】「自社商品を継続利用してほしい」課題に対する解決例

【メーカーのLTV構築事例】「自社商品を継続利用してほしい」課題に対する解決例

【要約】自社商品の継続利用を目的にLTVを整理した結果、テクノロジーを活用した施策実施が必要だった。

LTVの定義とアンケート調査LTVの計算が不正確で整理されていなかったため、LTVの定義の整理、また契約者および解約者への定性アンケート実施からプロジェクトが始まり、継続利用を高めるための因子を整理した。

手段としてのMAとCDPの導入:プロジェクト開始前はテクノロジーの導入は検討になかった。しかし、LTV分析に基づき特定セグメントに対する施策を検討する中で、結果的に施策実現のためにテクノロジーが必要と判断。社内の異なる部署で統一性のない施策を一元管理するためにCDPを使用し、MAを用いて一貫性のあるアプローチを実施した。

LTVの定義から施策実施までの期間:「できることから始める」方針で全データが整う前に施策を開始し、通常より早めに施策実施に至ったが、それでもLTVの定義から施策実施までは約半年かかった。

メーカーの悩み

新規顧客獲得に力を入れるだけではなく、人口減少が進む日本市場では、既存顧客の継続利用が収益向上の肝となります。

しかし、どれだけの予算を継続利用促進に充てるべきかの判断は難しい。そこで重要となるのが、LTVの設計。

今回、メーカーよりWOWOWコミュニケーションズにご要望頂いた「自社製品の継続利用促進したいが、そのための予算振り分けはどのようにすればよいか?」という課題に対して実施したアプローチをご紹介。

LTVの定義から始まり、結果的に、導入予定のなかったMA(マーケティングオートメーション)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の導入に至るまでのプロセスについて、本プロジェクトの主要メンバーであった横関さんに、その裏側を聞きました。

スピーカー

横関 彩

2009年にWOWOWコミュニケーションズに新卒入社。 WOWOWカスタマーセンターの業務コーディネートやWOWOWの営業/プロモーション/広告・宣伝などを経て、アナログとデジタルのコミュニケーション設計やCDPの構築・導入・データ分析等を担当。現在はWOWOWで得たノウハウの外販展開を推進中。ポッドキャスト

インタビュアー

原澤 陽

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。登壇実績

「自社製品の継続利用」の目的達成に向けた“因子”を特定する。

━━━メーカーより「自社商品の継続利用を推進」すべく、LTVの設計をしてほしいとのご要望があったと伺いました。これをキッカケに、最終的にはMA(マーケティングオートメーション)、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)といったテクノロジーの導入に至っています。なぜ、LTVの定義のみで終わらず、MA・CDPの導入に至ったのか。この背景について伺わせてください。

━━━まずはじめに、そもそもメーカーからどのような問い合わせが来たのでしょうか。

とあるメーカーから「自社の商品をいかに継続利用してもらえるか、今後の施策を考えたい」とのご要望をいただきました。

その背景として、これまでは新規顧客獲得に注力しており、会社の予算配分の多くが新規獲得に充てられていたことがあります。

ただ、今後は「自社の商品をいかに継続利用してもらえるか」が重要との方針転換がありました。

この時、どれだけの予算を継続利用に関するマーケティングに投下して良いかの判断が難しいという課題があり、その解決のためにWOWOWコミュニケーションズに問い合わせいただきました。

━━━そのようなケースは多いのではないでしょうか。新規顧客獲得を続けていたが、人口減少マーケットの日本において、収益を上げるためには既存顧客の方々、ないしロイヤル顧客・リピート顧客へ向けた施策に課題を感じている企業が多いのではないでしょうか

最近はサービスの継続利用に関するご相談をいただくケースが多いと感じています。

さらに課題の背景を掘り下げると、継続利用において重要なLTV(顧客生涯価値)の計算が正確に行われておらず、整理されていないことがわかりました。

そのため、まずはLTVの整理からプロジェクトが開始しました。その後、以下のお客様を対象に定性アンケートを実施しています。

  • 現在契約している方
  • 既に解約してしまった方

このアンケートでは既存のお客様だけでなく、解約した方にも焦点を当て、満足度を高めて継続利用につなげるための“因子”を整理しました。

この“因子”の特定が「自社の商品をいかに継続利用してもらえるか」という課題の解決策へのヒントとなります。

LTVの定義から施策実施までの期間は、早くとも半年。

━━━LTVを定義し、アンケートで契約者と解約者の方にアンケートを実施、その後どういう因子があるかを整理。その後、MAやCDPなどのテクノロジーの導入に至った背景は何だったのでしょうか?

LTVの定義にあたり、WOWOWコミュニケーションズは、社内の様々なデータを分析するため、メーカー側にデータの提供を依頼しました。

分析に必要なデータは多岐にわたり、以下はその一例です。

  • 売上はどのチャネルからの獲得契約か
  • チャネルごとに、契約者が何年間契約を続けているか
  • 解約に至った契約期間はどれくらいか etc

データ収集後WOWOWコミュニケーションズのマーケターとエンジニアは、損益分岐点などの計算を行い、最終的にLTVを算出します。

ただ、今回のメーカーでは数百万人単位の顧客を抱えており、収集したデータ量が膨大で、エクセルだけでは計算が不可能でした。

契約のチャネルや継続期間、個人情報など、様々なデータが付随することでカラム数が増加し、エクセルでの分析が困難になりました。

この問題を解決するために、弊社のエンジニアがBIツールやCDPを使用して計算を行い、結果をダッシュボードで表示しました。

このような背景があったため、お問い合わせ頂いた時には検討していなかった、テクノロジーの導入検討に至りました。

━━━メーカー側としては、LTVを定義して色々なデータが整理できれば良いと思っていたものの、実態としてはデータが何百万カラムとありエクセルでは整理できなかった。そこからさらにMA等にも繋がっていくんですか?

LTVを分析すると「顧客が何年間契約しているか」「何に満足しているか」「どこに不満があるか」が明らかになります。

これに基づいて、特定のセグメントに対してメールやDMを送るなどの施策を検討します。これらの施策を実現するためにはテクノロジーが必要であったため、MAの導入を検討する流れになりました。

また、各部署がそれぞれDMや広告などの施策を実施しており、企業として一貫性のない施策を展開していることも問題として浮き彫りになりました。

この問題を解決するために、データと施策を一元管理し、一貫性のある施策管理が必要です。

その結果、CDPを使用して顧客データとセグメントを一元管理し、MAを用いて一貫性のあるアプローチを実施することになりました。

DXが進む昨今において、テクノロジーの導入は重要です。

しかし、あくまでテクノロジーは手段です。「なぜテクノロジーが必要なのか?」「何を達成したいのか?」と目的やデータの整理をした上で、適切なテクノロジーを選び、また一貫性のある施策につなげることがDXを進める上で重要と考えています。

━━━LTVを定義し始めてから、実際に施策を実施できるようになるまで、大体どれくらいの期間がかかるものですか?

今回のプロジェクトでは「できることから始めましょう」という方針で、全てのデータが整う前に施策を開始したため、通常よりも早めに施策の実施に至りました。

それでも、LTVの定義から施策実施までは約半年かかりました。

今回のメーカーのように「自社の商品をいかに継続利用してもらうか」を課題としている企業は、早めに目的とデータを整理することをお勧めします。

今回は整理から施策まで半年という期間でしたが、通常はさらに長い期間が必要です。


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この記事を書いた人

矢尻 真麻

2012年にWOWOWコミュニケーションズ入社。 入社後はWOWOWのSNS/WEBサイト/MAなどのディレクション業務を経験。現在はWOWOWでのノウハウを活かし、新規営業獲得に向けて企画推進中。

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