【コンタクトセンターの育成】ポイントは「ゆったり」…?
要約
「汲み取る力」の重要性が増した時代背景: インターネットの普及により、現代の顧客は事前に情報収集した上で問い合わせてくる。以前のように説明力・話す力が主役だった時代とは異なり、今は顧客の不安を察知して寄り添う「汲み取る力」こそが、受注率に直結する最重要スキルになっている。
「喋りすぎない」ゆったりしたコミュニケーションは後天的に習得できる: 沈黙を埋めようと被せて話すオペレーターは受注率が低い傾向がある。「ブレスのタイミングを明示するロープレ」と「顧客の沈黙の意味を理解させる教育」という2つのアプローチで、ゆったりしたコミュニケーションは訓練によって身につけられる。
優秀なオペレーターの定義:「言葉を選んで返せる人」: フロストインターナショナルコーポレーションが定義する優秀なオペレーターとは、顧客の意図を正確に汲み取ったうえで、ビジュアルのない電話越しでもイメージが伝わる具体的な言葉を返せる人。喋りの上手さよりも、丁寧に寄り添う姿勢と言語選択の精度が問われる。
概要
前回は「【コンタクトセンターの採用品質】定着率88%…なぜ、世田谷区の主婦層を採用するのか?」と、コンタクトセンターにおける優秀な人材の見極め方を解説しました。
今回は、コールセンター運営の現場から、時代とともに変化したオペレーターに求めるスキルの優先順位と、その後天的な習得方法を具体的に解説。
オペレーターのスキルを「後天的」につけるトレーニングの裏側について、ご紹介します。
時代とともに変わる「優秀さ」
━━━優秀な人材の定義や要素について、30年前と今とで変わったと感じるもの、逆に変わらないと感じるものはありますか。
昔と比べると、1つ目の「汲み取れる」という要素の重要度が、より相対的に高まっていると感じています。
以前は広告も限定的で、1パターンの広告を見て電話してこられるお客様に対して、商品説明にものすごい時間をかけていました。
お客様の「わからない」に対して、言葉どおりに受け取るのではなく、背景にある不安まで汲み取った上でしっかり説明するという、アウトプットとしての話す力が昔の方が大事だったのです。
ところが今は、お客様の方も購入前に調べて、ある程度選択肢が絞られた状態で電話をかけてこられます。
むしろ「自分の選択が合っているかどうかを確認したい」というお問い合わせ的な入電が多いのです。ネットで見てもよく分からないから、本当に大丈夫かしらと確認したい。そこで話をして納得すれば購入に至る、という流れになっています。
━━━今のお客様の心理に対応するオペレーター像とは、どのような方ですか。
しっかりとお話を聞いてあげる、寄り添ってあげる、不安な部分に応えてあげる、そういった安心感があってゆったりとしたコミュニケーションを取れるオペレーターのほうが、安定して受注率が高くなっている印象です。
喋りすぎると、むしろお客様が嫌になってしまうケースが今の時代は増えています。
昔のデシジョンメイキングはオペレーターが主役で、先生のようにしっかり説明してあげる必要がありました。でも今はデシジョンメイキングの主役はお客様の側にあるのです。決めてはいるけれど、もう少し背中をポンと押してほしい、最後の不安なところを解消してほしい。
そこに丁寧に応えられる力があれば、必ずしも喋りが上手でなくても今の時代には合っています。
「ゆったり」を後天的に身につける方法
━━━「ゆったりとしたコミュニケーション」というスキルは、先天的なものでしょうか、それとも後天的に身につけられるものでしょうか。
後天的に身につけられると思っています。
喋りすぎるオペレーターは受注率が低いというのは、はっきりとした傾向としてあります。電話をしている時に、仲のいい人だと無言でも心地よい間があるじゃないですか。
ところが、関係性ができているか分からない相手だと、お客様が考えながら聞いて黙ってしまった瞬間に、不安なオペレーターは被せて喋ってしまうのです。お客様に考える時間をしっかり渡してあげることが、とても大事になります。
━━━後天的に身につけるための具体的な方法を教えてください。
2つあります。
1つ目は、お電話デビューする前のロープレ練習の段階で、「1拍取るべきタイミング」を明確に教えることです。音楽でいう「ブレス」のようなもので、ここで1拍置きましょうというポイントを頻繁に入れていく。これは楽器の練習と同じで、明確に練習で身につけられる領域です。
2つ目は、お客様が無言になる時間の意味を理解させることです。ご説明をしたあとにお客様が無言になることはよくありますが、それは否定しているわけではありません。電話にはビジュアルエイドがないので、考えるのに時間がかかる場合があるのです。
特に7,000〜8,000円の商品を購入する際は、年金とのバランスを考えるご年配の方々も多くいらっしゃいます。
このお客様は今、私の話を汲み取って考えているのか、もしくは買うのをやめたくて黙っているのか、どちらかを判断する。「ちゃんと考えているんだな」という知識をしっかり入れてあげて、考える時間をしっかり取ってあげるのが教育の役割です。
逆に「不安で買わないようにしようとしているのかな」と勝手に思い込んでまくし立ててしまうと、関係性が崩れ、セールスではなくなってしまいます。そうなると、うまくいきません。
━━━ブレスや間合いの教育は、どこから生まれたものでしょうか。
元々は、日本航空株式会社の客室乗務員用に「おもてなし研修」というものがあり、それを起点として電話応対用にアレンジをしていったという歴史があります。理論的に体系化されたものを、サービスに合わせて最適な教育に進化させたという形になっています。
フロストインターナショナルコーポレーションにおける優秀なオペレーター像
━━━現場に出てからのフォローはどのように行っているのでしょうか。
デビューしたてのオペレーター達は、リアルタイムでスーパーバイザーがモニタリングしています。被せがちになる瞬間があれば、後で音声を本人と一緒に聞き直して、「ここ焦っちゃったよね、なぜ焦ったの?」とフィードバックします。
「友達と会話するときを思い出してみて。相手の思いをくみ取りながら話を進めるよね?それと同じように、ちょっと時間を置いて、自分の中で『いち、に』と数えてからお話を始めようね」というような、具体的な教育を重ねていきます。
━━━総じて、フロストインターナショナルコーポレーションにおける優秀なオペレーターとはどのような方ですか。
お客様のおっしゃりたいことを丁寧に頭の中で汲み取って、理解した上で、最も適切な言葉をアウトプットとして返せる人です。
難しい言葉ではなく、「もっちり」「ふわふわ」といった、人によって使う・使わないが分かれるような表現も含めて、電話越しでビジュアルがなくてもイメージできる言葉で伝えられる人。そういうオペレーターが、結果としてお客様に寄り添い、選ばれる存在になっているのです。
まとめ:オペレーター育成のポイントとは?
スキルの優先順位が変化: 顧客の情報リテラシー向上により、「説明力」から「傾聴・汲み取る力」へと、オペレーターに求める能力の重点がシフトしている。
沈黙のマネジメントが鍵: 顧客の無言は拒否ではなく思考の時間である場合が多く、被せて話さず間を渡す技術が受注率の差を生む。この技術はロープレと認知教育で後天的に習得できる。
言葉の解像度が成果を左右する: 電話越しというビジュアルのない媒体では、「もっちり」「ふわふわ」のようなイメージ言語を適切に使える人材が、顧客の信頼と購買決定を引き出す。