【株式会社双葉社】作品の魅力をくみ取り、“本当に届けたい訴求”を形にするデジタル広告導入事例
「やっぱり、ちゃんと作品を読んでくれているな」
総合出版社として、コミック・小説・雑誌などを幅広く手がける株式会社双葉社。同社の宣伝・プロモーション部は社員6名で、年間およそ1,000点に及ぶ刊行物のプロモーションを担っています。今回は、コミックを中心としたデジタル・ウェブ領域を担当する白石様と重田様に、お話を伺いました。
限られた人数で数多くの作品を扱う中、最初に直面したのは「プロモーションのリソース不足」という課題でした。
WOWOWコミュニケーションズは、作品を読み込んだうえでのクリエイティブ制作、媒体選定、ABテストによる訴求軸の検証までを伴走型で支援。クリック率・クリック単価の改善や、巻を重ねるごとの訴求最適化につながっています。 本記事では、お二人の声を交えながら、選定の決め手と導入後の変化をご紹介します。
目次
コミックプロモーションにおける導入前の課題とは?
━━━まず、お二人のご担当領域について教えてください。
白石様
双葉社の宣伝・プロモーション部は社員6名の組織で、宣伝部から宣伝・プロモーション部になったのは6年ほど前です。部内で課が明確に分かれているわけではなく、業務上ゆるやかに担当が分かれている程度です。私自身はデジタル領域のコミックがメインで、ジャンルでいうとコミック・ライトノベル・アニメ、それに少しライトな小説などを主に担当しています。

※所属部署は2026年6月時点
重田様
私も白石とほぼ同じです。担当ジャンルが大きく分かれているわけではなく、多少、男性向けが多い・女性向けが多いといった偏りはありますが、コミックはレーベルごとに担当を固定するような分け方はしていません。

※所属部署は2026年6月時点
━━━メンバーの皆さんは、もともと編集のご出身が多いのでしょうか。
白石様
私は新卒入社で、もともと出版業界・編集を志望していました。新書や実用書よりもフィクション、小説や漫画をやりたいという思いがあり、今は割とそうしたジャンルを担当させてもらっています。編集部に配属されていた時期もありました。
現在、宣伝・プロモーション部の6名のうち4名が元編集で、残る2名は広告会社出身のキャリア採用のメンバーです。書籍の中身を理解しているメンバーと、宣伝・プロモーションを理解しているメンバーが、両方そろっている体制です。
━━━弊社にご依頼いただく前、どのような課題をお持ちでしたか?
白石様
私が宣伝部に異動した4~5年前、ウェブ領域、特にコミックのプロモーション案件を増やしていく必要がありました。そのときに最初に直面したのが「リソースの問題」です。
弊社は、出版社としては中堅ですが、“総合”出版社としては一番社員数が少ない会社だと思います。一方で、コミックだけで編集部が10程度、小説や雑誌を含めると編集部は20程度あります。それを6人で縦割りするのは難しく、どうしてもジャンルできれいに分担する形にはなりません。
出版社は一種のメーカーですが、その中でも特に薄利多売かつ多品種です。双葉社は年間でおよそ1,000点を刊行していて、月でならすと、漫画が約30点、書籍が約40点、雑誌が約10点ほど。一般的な商品であれば一つの商品を1年かけて訴求し続けることもできますが、出版の場合は、数多くの作品の中からある程度の点数をプロモーションしていく必要があります。
現在は月40~50銘柄ほどのプロモーションを仕掛けていますが、担当6名で分担しても一人あたり6~7冊ほどになります。これを一社の広告会社だけで対応するのは、先方のリソース的にも、私たちのリソース的にも難しい。
そこで、まずはリソースを増やすという観点で、ビジネスマッチングサービスを通じて外部パートナーを探し始めました。当時から、常時7〜10社ほどを並行してお願いしながら、合わなければ入れ替え、足りなくなれば補充する、という形で進めています。
なぜ、WOWOWコミュニケーションズなのか?
━━━数あるパートナーの中で、なぜ弊社にご依頼いただいたのでしょうか?
白石様
当初の目的はリソース確保でした。ただ、一度リソースを確保して以降に改めて感じているのは、御社は、窓口の担当者が変わっても、コミュニケーションやデザインのクオリティが落ちない、という点です。
マーケティング会社は数多く生まれていますが、20~30人規模であることも多く、担当者が一人変わると対応がガラッと変わってしまうことも少なくありません。実際、頼りにしていた担当者が辞めてしまい、その広告会社で続けるメリットがなくなって、またリソースが足りなくなる、ということもありました。その点で、安定して任せられることは大きな決め手になっています。
━━━選定の決め手になったポイントを、もう少し詳しく教えてください。
白石様
決め手として感じているのは、「勘所」です。本という商材は、中身を理解したうえでデザインやキャッチコピーをつくる必要があります。色やポーズ、屋外か夜かといったパターンを機械的に量産するような進め方では、本の場合は差別化ができません。中身を把握したうえで、デザインもコピーもつくる必要があるのです。
さらに、出版社はあくまでもパブリッシャーとしての立場であり、出版社が持つのは出版に関わる権利が中心で、著作権は著者の皆様がお持ちです。だからこそ、売るための表現一つをとっても、出版社もデザイナーも独りよがりな表現になってはいけない。勘所に加えて、作品と著者の皆様へのリスペクトがないと、パートナーとして信頼しきれない、というのが正直なところです。
━━━弊社も権利物を扱っているので、その点で染み付いた感覚を評価いただけて嬉しいです。ちなみに弊社のことは元々ご存じでしたか。
白石様 重田様
知らなかったです。
白石様
ただ、WOWOWコミュニケーションズと聞いた時に「知っている単語」があるなと。やっぱり、安心感のようなものがあるんですかね。

━━━では、実際に取引が始まったきっかけは何でしたか?
白石様
2024年11月に最初にお話しし、2025年1月に御社で初めて依頼させていただきました。作品に合わせた媒体の選定も良かったのですが、それ以上に大きかったのは、まず作品をきちんと読んでくれていたことです。
当たり前のようでいて、作品を必ず読んでくれるとは限らないんですよね。「読んでいません」とは言わなくても、クリエイティブやキャッチコピーを見れば、読んでいるかどうかは分かってしまうものです。
その点、御社は最初から読み込んでくれているのが分かりましたし、それが提案にも表れていました。ご提案資料やレポートも、言葉や文字だけでなく、完成イメージやシミュレーションを添えて、こちらが判断しやすい形になっています。
私たち宣伝・プロモーション部はウェブ広告の仕組みをある程度理解していますが、編集者や著者の皆様はそうとは限りません。編集側が首を縦に振らないと案件は前に進みませんが、御社の資料があると、「X広告がどう掲出されるのか」、「キャッチコピーがどこに入るのか」、「どのサイトにどんなバランスで配信されるのか」といったことを編集にも説明しやすい。提案の時点でプレビューに近いものをいただけ、レポートも個別に充実した内容でいただけるので、社内を動かすうえで本当に助かっています。
弊社には「まず一回やってみる」というスタンスがあります。担当者のお人柄やデザイナーの勘所は、やってみないと分かりません。最初にお願いする決定的な理由は、正直どこの会社にもないのですが、“2回目をお願いする理由”が、今お話ししたようなことで、今後もお願いしたいと思っています。
━━━ありがとうございます。重田様は、弊社にどのような印象をお持ちですか?
重田様
他社にお願いしていた案件で、「もう少しクリック率やクリック単価を改善できそう、もっと良い数値が取れそうだ」と感じていた作品がありました。何度か御社とご一緒する中で「御社にお願いしてみよう」と思い、実際にお願いしたところ見事に改善した案件があり、お願いして良かったなと印象に残っています。
また、1巻目から、あらすじ訴求・恋愛訴求といった異なる訴求軸できちんとご提案いただけます。その結果を次回に生かし、「どちらの軸を伸ばすか」を前回を踏まえてご提案くださるのも、ありがたい点です。

作品理解をしているからこその訴求軸でクリック率も改善。導入後の変化とは?
━━━特に印象に残っている取り組みはありますか?
白石様
『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』という作品でのやり取りですかね。
この作品は、もともと別媒体で連載していた作品を弊社でコミックスにさせてもらっていて、元のファンが買ってくれている作品でもありました。
最初は既存ファン(顕在層)に確実に届けたかったので、原作ファンに馴染みのある切り口を前面に出しました。そして売れ行きが伸びてきた次の巻では、新規(潜在層)を獲得するために、同じ作品の別の魅力を打ち出す方向へ切り替えました。作品の中の移り変わりを踏まえながら、既存ファンに馴染みのある切り口から、新規ファンに響く切り口へ、段階に応じてトーン&マナーを変える必要があったのです。
途中でトーン&マナーを変えるのは意外と難しいのですが、御社はそこをくみ取り、メールで数文のやり取りだけで対応してくれた。やっぱり、ちゃんと読んでくれているな、と感じた瞬間です。

ⒸSORAJIMA・天壱/双葉社
━━━継続して取引する中で感じる変化はありますか?
白石様
広告会社によっては、前回のプロモーションのPDCAが引き継がれず、「前回どうしましたっけ」と毎回ゼロから説明し直すこともあります。御社はそれがほとんどありません。取引は2025年1月からで、まだ1年半ほどですが、継続する中でこうした積み重ねが見えてきたのは、ありがたいところです。どの担当者の方も経験値が高いと感じました。何か心配なことを相談すると、すぐに「こうすればいいですね」と回答してくださるスピード感が素晴らしいなと感激しました。
━━━進め方の面ではいかがでしょうか。
白石様
出版では、まず認知を取れないとスタートラインに立てません。たとえば100万人が読んで1%が「面白い」と思えば1万人が買ってくれる——これは、10万人が読んで10%に買ってもらうのと同じ。だから、まず届けることが大事です。
弊社のプロモーションは「小さくたくさん」が基本で、すべてに斬新なアイデアや独自性のあるアプローチをすることはできません。著者の皆様にとっては、1冊で作家生命が左右されるかもしれない。その時、どの作品に対しても公平に機会をつくりたい。点数が多いぶん、すべてに創造的な施策はできませんし、コストやリソースの制約もあります。
だからこそ、オーソドックスな施策の中でABテストを行い、訴求軸を検証しながら2巻目以降につなげていく——こうした進め方を、御社は各作品への理解を深めながら、着実に、遅延なく進めてくださるので、ありがたく感じています。
初週の結果を見てアロケーションを判断してくれるので、納得感があります。数字と感性のどちらも大切にしてバランスを取ってくださる点は、出版社にとって難しい部分を支えてもらえていると感じます。

━━━ありがとうございます。ご依頼を続けていただいているポイントをもう少しお伺いできますか。
重田様
困ったら御社に、ということもあります。
意外と、どの広告会社でもできることではないと感じているのが「作品の魅力を伝えつつ、“広告映え”する見せ方を両立できる」という点です。バナーはぱっと見で引きがないと読み飛ばされてしまいますが、その2つを両立してくれるからこそ、ご依頼を続けてきました。
━━━「広告映え」とは、具体的にどういうことでしょうか。
重田様
カルーセル広告は1枚目がとても重要です。あらすじをただ並べただけのものだと、なかなかクリックにはつながりません。1枚目にどのコマを使うか——そこをしっかり踏まえてご提案いただけます。
白石様
あらすじをまとめて起承転結にするだけなら、ある程度は機械的にもできます。しかし、起承転結の「転」、つまりどの部分を一番上に持ってくるかは、作品を理解していないと判断できません。恋愛漫画か青春漫画か、ラブコメか学園ものか、スポーツ漫画かと思いきやギャグだったり——見た目が似ていても、ファンにとっては明確に違います。読んでいないと、そこを取り違えてしまう。その点で、御社は両方できていると感じます。
今後の展望と期待するサポートとは?
━━━今後、弊社に求めるサポートはありますか。
白石様
御社であれば、今お願いしている案件よりも、もう少し大規模の施策も任せられると考えています。単純に各媒体へ金額を均等に振り分けるのではなく、たとえば予算の半額程度でSNS流入をつくり、もう半額でYouTubeのライブ配信を行う、といった組み立てのご提案などをいただけると面白い。着実にオーソドックスな施策をお願いすることが多かったですが、挑戦的な展開が必要になる作品もあります。改善というより“チャレンジ領域”として、そうしたご提案も今後ご一緒できればと思います。
━━━具体的には、どのような展開をお考えですか。
白石様
たとえば、動画配信サービスへの広告や、音声配信サービスでの音声広告、タレントの起用、街頭でのイベントなど、さまざま組み合わせて相談できると面白いと考えています。
出版業界は、映画やアニメ、ゲームといった他エンタメ業界と比べると、大規模なイベントやキャンペーンの展開がまだ得意とは言えない領域です。もちろん、チャレンジしている出版社も中にはありますが、少なくとも弊社は経験値があまりないといえます。
予算規模が他業界と異なる事情はありますが、「経験値が少ないから」といって弱いままでよいとは思っていません。
もう少し大きな、多面的な展開にもチャレンジしていきたい。そして、それを一緒にできそうなのが御社だと感じています。
━━━最後に、WOWOWコミュニケーションズに期待することをお聞かせください。
重田様
こちらから「これをやりたい」と具体的に伝えなくても、御社の側から「こういうことならマッチするのでは」と思うことがあれば、ぜひご提案いただきたいです。私たちから出せるアイデアには限りもあるので、提案いただけるととても助かります。
白石様
最近は著者の皆様も視野が広くなっていて、広告表現の幅も広がっています。たとえば、広告上でセリフを変える、舞台に合わせた言い回しにする、名シーンをアレンジする——といった表現も、リスペクトのある形であればご一緒できる余地があります。
もちろん、作品上どうしても崩したくない部分はありますので、すり合わせながら、これからも多面的な展開も含めご一緒できればと思います。

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