DIGITAL MARKETING
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現場で使える!バイラルマーケティングの基本と実践ガイド

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SNSや動画コンテンツの普及により、ユーザーが自発的に情報を広める「バイラルマーケティング」が再び注目を集めています。しかし、意外とその本質がよくわからないという方も多いのではないでしょうか?この記事ではバイラルマーケティングとは何なのか、事例を挙げながら詳しく紹介します。

バイラルマーケティングとは?

バイラルマーケティングに使われているViral(バイラル)とは、Virus(バイラス)、日本語の「ウイルス」という単語の派生語にあたります。よって、バイラルマーケティングを簡潔な日本語に言い換えると、「ウイルスのように広まる」マーケティングと表現できます。

急速な勢いで「広がっていくコンテンツ」を配信し、SNSなどのチャネルで自然に拡散してもらうことで、爆発的な規模でのマーケティングが期待できます。

バズやインフルエンサーとはここが違う

バイラルマーケティングと混同されやすい用語に「バズマーケティング」と「インフルエンサーマーケティング」があります。

バズマーケティングの「バズ(Buzz)」とは、日本語で「ざわつき、がやがや」などと訳されるもので、人為的に話題化して広めるマーケティング手法です。
例えば、ターゲットの客層に影響力のある人物やメディアにおいて、商品やサービスを取り上げてもらい、トレンドとして注目されるような施策を行います。多くの人に注目してもらうことで、企業や商品への関心を高め、購買のきっかけを生み出すという目的があります。

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーと呼ばれる影響力の強い人物に商品やサービスを利用してもらったり、企業紹介をしてもらったりすることで、自社コンテンツに注目を集めるものです。

バズマーケティングを成功させるために、インフルエンサーの力を借りるケースもあるため、明確に線引きをするのは難しいかもしれません。 一方でバイラルマーケティングは、メインとなるコンテンツが重要視され、特定の有名人やメディアだけでなく、情報を受け取った人すべてが感染源となって、コンテンツの情報を拡散していくように仕掛けるユーザー参加型のマーケティング手法である点が他の手法との違いです。

バイラルマーケティング実施のメリット

バイラルマーケティング施策がうまくいくと以下のメリットがあります。

コストを抑えたうえで認知の拡大が可能

バイラルマーケティングは広告費や媒体への掲載などを必要としない施策が多いため、コンテンツ制作費のみで実施が可能です。ユーザーが自発的に拡散してくれるので広告費を抑えての拡散が期待できます。

ユーザーの信頼が得られやすい

ユーザーの信頼が得られやすいのもバイラルマーケティングのメリットです。知り合いから拡散された情報としてコンテンツに触れるため、広告のように企業からダイレクトに届けられた情報よりも安心感が生まれ信頼を得られやすくなります。またポジティブな感情とともに拡散されることが多いためブランド好感度向上も期待できます。

バイラルコンテンツの作成のポイント

バイラルマーケティング成功のためには、巧妙に練られた「バイラルストラテジー(戦略)」が必要です。一部のバイラルコンテンツには、「運が良かった」とも思えるケースもありますが、不確実で再現するのは難しいでしょう。ここでは拡散されやすくなるためのポイントを紹介します。

感情を動かすストーリーを設計する

驚き、笑い、感動、共感など、感情を揺さぶるストーリーは拡散されやすい傾向があります。特に「自分ごと化」できる内容は、シェアされる確率が高いです。例えば、最近見たドラマといったちょっとした日常の出来事や初任給で買ったものなどライフステージに合わせた話題などです。

拡散されやすいフォーマットを選ぶ

SNSでは15秒~30秒程度の短尺動画・情報を得られる画像・物語性のあるコンテンツの形式が拡散されやすいとされています。配信する媒体や配信内容に合わせて制作コンテンツを選んでいきましょう。

参加したくなる仕掛けを入れる

コンテンツを楽しんでもらうだけでは拡散してもらえません。ユーザーが投稿・拡散したくなる仕掛けが必要です。ハッシュタグキャンペーンやチャレンジ企画、アンケート実施などは参加しやすく、自分事化しやすくもなります。

事例から学ぶバイラルマーケティング

バイラルマーケティングの成功例としてよく挙げられるのが、2012年に世界中で爆発的に流行ったPSYのカンナムスタイル(江南スタイル)という曲。一見すると韓国の歌手が面白おかしいダンスで一躍有名になっただけの音楽ビデオです。しかし、このコンテンツはYG Entertainmentという、韓国の音楽レーベルが「欧米にK-POPを進出させたい」という目的のために精巧に計算して作られたバイラルマーケティングでした。

成功のための事前準備

YG Entertainmentは、カンナムスタイルのコンテンツ配信をする1年ほど前に水面下でアメリカにオフィスを立ち上げwill.i.amを始めとした有名アーティストやレコードレーベルとパートナー契約を交わし、並行してYouTubeのアクティブフォロワー数獲得や、出演アーティストの個人SNSアカウントでのファン育成の実施を行い、カンナムスタイルの配信をした瞬間から爆発的な拡散を生み出すベースを戦略的に築き上げました。

有名なアーティストやレコードレーベルとのパートナー契約内容は一定期間隠されており、コンテンツのバイラル性をさらに加速させるための戦略として、発表のタイミングが調整されました。

YouTubeでは250万人ものフォロワーを獲得し、配信している音楽動画は25億回もの再生回数を記録した段階でした。

配信されたコンテンツ

配信された動画コンテンツでは、バイラルマーケティングのターゲットである若者層の目を引く「明るい色」を基調にし、韓国語でありながら英語圏の人にも楽しく聞こえるキャッチーな歌詞やテンポの良いコーラスなどを取り入れています。また、すでに人気のある韓国のコメディアンやダンサーなどを採用し、彼らのファンにも響くコンテンツとなっていました。PSY自身も韓国で成功しているミュージシャンであり、それがバイラル性の加速に貢献したともいわれています。

コンテンツ動画拡散によるマーケティングの結果

念入りな準備を経て配信されたコンテンツは、瞬く間に世界中で爆発的なヒットとなります。多くのセレブたちが自身のSNSで紹介しただけでなく、世界中のニュース番組に取り上げられたり、ギネス世界記録に登録されたりと、すさまじいマーケティング成果をたたき出しました。PSYのカンナムスタイルが注目されるまでは、欧米でのK-POP人気は低いものでした。しかし、2012年以降、BIGBANGやBTSといった韓国人アーティストが欧米進出を果たし、「K-POPを欧米に広める」というマーケティングは大成功をおさめました。

参照: Case Study: How Gangnam Style went viral with a strategic marketing campaign from YG Entertainment | The Drum

バイラルマーケティングでよくある失敗とその回避策

いろいろとメリットも多いバイラルマーケティングですが、失敗することもあります。なるべく成功に近づけるように以下のポイントを知っておき、注意して実施するようにしましょう。

拡散を狙いすぎて炎上して失敗

拡散を狙いすぎるあまり、ターゲット層の価値観や社会的な感度を十分に考慮せず、過激な表現やセンシティブな表現を利用してしまい炎上するリスクがあります。
回避するために、企画段階でいろいろな立場の視点からのリスクチェックを実施し、炎上のリスクがあるテーマを避け、そして投稿前にも社内レビューを行うなど複数の目を通すようにしましょう。

ターゲットにあっていないコンテンツを作成して失敗

拡散されても認知を広げたいターゲットに拡散されては意味がありません。またターゲットが理解しづらい表現をしてしまうことでそもそも反応が得られないリスクがあります。若年層をターゲットとするなら堅苦しい表現や長文を避けて端的にわかりやすい文章にするなど、ペルソナを設定して趣味嗜好を事前に調査したうえで作成しましょう。また、実際のユーザーボイスを参考にすることもターゲットとのずれを防ぐのに役立ちます。

拡散後の対応が遅れる

拡散後の対応についても検討しておくとよいでしょう。想定せず拡散されることで通常よりもお問い合わせが増えたり、サイトアクセスが増加したりする場合があります。対応ができていないとユーザーの満足度が下がるなど不信感につながる可能性があります。
対応マニュアルの作成や、社内のお問い合わせ対応の部署などへ施策を連携しておくと安心です。

まずは自社の顧客層の分析からはじめましょう

事例で紹介したような大規模のバイラルコンテンツを準備したり、制作したりするのは、時間も手間もかかる大変なプロジェクトです。しかし、その分バイラルマーケティングの影響力は大きく、爆発的な購入率の向上につながる可能性があります。コンテンツ制作に向けて、まずは自社の顧客層を分析し、どんなものが好まれ、流行るのかを考えるところから始めてみましょう。

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