#4 コンタクトセンターで高い応対品質を生み出す方程式とは?
要約
マインドセットを行動に変える仕組み
「おもてなしの心」を意識するだけでは行動は継続しないという前提に立ち、WOWOWコミュニケーションズでは意識を具体的な行動に落とすためのコミュニケーション研修を設計している。表面的な話法指導の前に、構造的な理解を重視している。
4つのコミュニケーションによる分解と訓練
応対を「聴く・話す・音声の表現・マナー」の4要素に分解し、それぞれを体系的に深掘りする。「聴く」では傾聴を重視し、相槌やオウム返しを用いて、顔の見えない環境でも理解と共感を伝える技術を身につける。
相手に合わせて調整する応対技術
話し方や声のトーン、スピードは相手の年齢や緊急度に応じて調整される。さらに保留時の配慮や言葉遣いなどのマナーを徹底することで、応対全体の一貫性を保ち、おもてなしの心を具体的な行動として体現している。
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概要
コンタクトセンターにおける応対品質は、意識や理念を共有するだけでは実現できません。
頭では理解していても、行動として継続できないという壁が現場には存在します。
今回は、「おもてなしの心」を実践に変えるために、WOWOWコミュニケーションズが取り組む4つのコミュニケーション分解と具体的なトレーニング内容を紹介しています。
応対品質を再現性のあるスキルとして設計するための考え方と実践例を学ぶことができます。
※前回「#3 なぜWOWOWコミュニケーションズは「応対品質」が高いのか?」はこちら
なぜ、応対品質が高いのか?
━━━前回お話しいただいた「おもてなしの心」以外に、なぜ、WOWOWコミュニケーションズの応対品質が高いのかという点について、仕組みや考え方など、お持ちのものはありますか。
前回、入社してから「おもてなしの心」というものをきちんとマインドセットします、というお話をしましたが、マインドセットだけでできるようになれば、それほど素晴らしいことはありません。
ただ、やはり意識していても、それを行動に移すことはとても難しいですよね。
例えば「明日からダイエットをしよう」と思っても、その夜に最後のラーメンを食べてしまうといったように、意識していても行動が継続しないというのは仕方がないことだと考えています。
では、その意識したことを行動として実践できるようにするにはどうすればよいのか。そこで、いわゆるコミュニケーションの研修を行っています。
恐らくどの企業でもコミュニケーションや接客の研修は実施されていると思いますが、WOWOWコミュニケーションズ では「このように話しましょう」「この言葉を使いましょう」といった表面的な指導の前に、コンタクトセンターにおけるコミュニケーションを 4 つに分類し、それぞれを掘り下げ、知識とテクニックを実践していくトレーニングを行っています。
━━━おもてなしの心をマインドセットし意識したからといって、すぐにアクションにつながるわけではない。であれば、それをどう行動に落とし込むかということで、先ほどお話に出た「4 つのコミュニケーション」とは、具体的に何でしょうか。
まずは相手の話を「聴く」こと。そして「話す」こと。さらに「音声の表現」。そして「マナー」の 4 つです。
今回は電話での応対を例にお話ししますが、コミュニケーションでは「聴くことが大事」と言われているものの、そもそもどうやって聴けばいいのかわからないという人は多いと思います。顔の見えない接客では、自分が聴いているということを相手に伝えるために「相槌」が必要になります。
「私はあなたの話を聴いていますよ」ということは、電話ではうなずいても相手には見えないため、それを伝えるためのテクニックとして相槌を使います。
相槌には「はい」「えぇ」などいくつかのパターンがあり、それを重ねてしまうと不快に思われることもあります。研修では、こうしたテクニックや使い方を学んでいきます。
━━━今、一気にスキルまで踏み込んだ説明で驚きました。この一連の方程式がすごいですね。
この方程式を、「聴く」「話す」「音声の表現」「電話でのマナー」の 4 つに分け、1 つずつ深掘りしていきます。
では、今お話しした「聴く」についてさらに掘り下げますね。私が「相手の話を聴きましょう」と言っているのは、私や WOWOWコミュニケーションズ の定義では“聴く”、いわゆる傾聴を意味しています。
「きく」には「聞く」と「訊く」もあります。「訊く」は、少し強いニュアンスですが、尋問のように相手に問い詰めるイメージになってしまいます。一方「聞く」は、漢字の成り立ちからすると「聞きたくなくても聞こえてくる音」という意味が含まれており、傾聴とは異なります。
そのため、私たちは「聴く」、つまり傾聴を意識してもらいたいと考えています。
お客様の話をしっかり傾聴してほしい。そして、傾聴されないとどのような気持ちになるのか、という体験も含めて、研修で実際に取り組んでいます。
━━━「聞く」は聞きたくなくても聞こえてしまう音という意味がある一方で、傾聴の「聴く」は、つまり“聴きたい”ということなのでしょうか。
そうです。「聴く」は耳偏に十四と心と書きますが、これを紐解くと、傾聴とはまず耳で聞き、そして十四の心で話を聞くという意味になるのです。
人によっては「十」をプラスマイナスの“プラス”と解釈して、「耳と目と心で聞く」という解釈をされる方もいます。
━━━すごい。日本語ってよくできていますね。
そうなんです。私たちはこの日本語を武器としてお客様に接しています。もちろん漢字は音として聞こえるだけでは見えませんが、そういう意味合いで“聴く”という姿勢を持って取り組んでほしいと伝えています。
傾聴というのは「首を傾けて聴く」から“傾聴”と書きますが、どれだけオペレーターが傾聴していても、顔が見えないとその姿勢が伝わりません。
そのため、それを伝える手段のひとつとして相槌や、「そういうことなんですね」「〇〇でお困りなんですね」といったオウム返しをすることで、傾聴していることを相手に伝えるのです。
自分が聞きたいことを質問するのではなく、一旦はお客様のお話を傾聴して受け止める。その受け止めたことを伝えるために相槌をしたり、オウム返しをしたりといったテクニックを使う。
そうすることでお客様におもてなしの心が伝わり、そのうえで何かお困りごとがあるのなら、おもてなしの心を持ちながら課題解決に寄り添っていく――ということです。
「話す」「音声の表現」
━━━私事ですが、先日クレジットカードの件で問い合わせをした際、良くも悪くも応対が淡々としていたのです。もしそこに“おもてなしの心”があれば、「問い合わせを処理する」という発想ではなく、「どうすればこの方をハッピーにできるか」を前提に対応が進むということですね。
相手の言葉を受け止め、意図をくみ取り、適切な相槌や説明を重ねたうえで、最後におもてなしの気持ちを添えた解決策を提案する——。そうしたプロフェッショナルな姿勢で応対をされているのですね。
そうですね。そして、その後に言葉を返す・回答を返すという行為が、次の“話す”というスキルに繋がります。
例えば、原澤さんがとても急ぎで困っているのであれば、その状況に合わせた話し方や、話の組み立て、説明をする必要がありますし、困っているお気持ちに寄り添うための音声表現――声の高さや、話すスピードといった音声表現を調整することも重要です。
ご高齢の方は高い音が聞き取りにくくなっているため、その方に合わせて声のトーンを変えていくといった対応も必要になります。
━━━そんなこともできるのですか?
もちろんです。逆に若い方は高い音を聞き取りやすい傾向にあります。
━━━では、もし私が高齢だった場合はどうなるのですか?
まず、ゆっくりと話し、トーンを少し下げてお話しします。もしこの声でも少し聞き取りにくいと言われたら、「申し訳ございません。この音で聞こえますでしょうか?」と微調整をかけていきます。
━━━私は早口になりがちなので、これでもかなり抑えているのですが、話が楽しくて盛り上がっている場合は、逆にそちらのペースに合わせるのでしょうか。
合わせます。お客様側のテンポと合わないと、かえってバランスが悪くなってしまいますので、お客様の状況に合わせて、少しだけ早めに話すこともあります。
━━━どのようなコンタクトセンターかにもよるとは思いますが、それはどのように判断しているのでしょうか。例えば、私がクレジットカードの問題で電話をし、関口さんが応対されたとします。こちらから何か質問をしたとして、私の最初の返答だけでも分かるものなのでしょうか。
大体は分かります。困っている方というのは、緊急性が高かったり焦っていたりするので、早口で話されるケースが多いんです。そこから状況を察し、お問い合わせ内容もお困り事であれば、こちらも少しペースを早めて対応することがあります。
「マナー」
━━━すごい…感動しています。ちなみに、最後の“マナー”についてはどのような内容なのでしょうか。
今、固定電話を使っている若い方は少なくなってきているので、受話器を取って「もしもし、〇〇です」と応じることはあまりないと思います。
ただ、企業の窓口としてお客様に接する以上、特に中高年の方は「もしもし」という応答に違和感を覚えることもあるため、企業対応としては「もしもし」は使わない方が望ましいと考えています。
また、保留ボタンを押す際に、何も言わずに「かしこまりました」の一言だけで突然保留音に切り替わると、長い保留メロディーを延々と聞かされることになり、お客様にとっては大きなストレスになりかねません。
そのため、もし調査に時間がかかるようであれば、一度お客さま対応に戻って「調べるのにもう少し時間がかかりますが、お待ちいただけますか」「お急ぎでしたら、一度切って調査後こちらからお電話してもよろしいでしょうか」と確認を取ることも、電話のマナーとして大切です。
━━━なるほど…。前回はマインドセットのお話を伺い、意識しても行動が続かない。ではどうするのか、ということでコミュニケーションを“聴く・話す・音声の表現・マナー”の4つに分類されていると。
“聴く”に込められた意味、その後の話す・表現、そして前提となるマナーまで、本当にすべてが繋がっているのですね。前回、最初に応対品質とは何かと伺った際、「難しいですね」とおっしゃっていたのは、恐らくまだ伝えきれていない部分があるということですよね。
そうですね。まだお話しできていない部分があります。
━━━そうですよね。本日は残念ながらお時間となってしまいましたが、この応対品質については、今後もさらに深掘りして伺っていきたいと思います。
まとめ
WOWOWコミュニケーションズにおける応対品質を支えるコミュニケーション設計
行動化:意識だけに頼らない設計
マインドセットを前提としつつ、行動に落とすための研修と構造化が行われている。
分解:4つのコミュニケーション
「聴く・話す・音声の表現・マナー」に分けることで、応対品質を具体的に鍛えている。
調整:相手基準の応対
年齢や状況に応じて声やテンポ、対応方法を変え、ストレスを最小化している。
一言まとめ:
応対品質は精神論ではなく、分解・訓練・調整によって再現可能なスキルとして構築されている。
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