#3 なぜWOWOWコミュニケーションズは「応対品質」が高いのか?
要約
理念を起点にした応対品質の一貫性
WOWOWコミュニケーションズは、複数企業のコンタクトセンターを運営する中でも「おもてなしの心」を共通の品質キーワードとして掲げている。「決して嫌な思いをさせない」を前提に、顧客を想像し期待に応える姿勢が、応対品質の軸となっている。
企業理念を現場に翻訳する言葉の力
企業理念である「卓越したコミュニケーションサービスを通じて価値を創造する」という考えを、現場のオペレーターにまで浸透させるために、「おもてなしの心」という分かりやすい言葉が用いられている。理念と現場行動をつなぐ媒介として機能している。
マインドセットから行動へ落とす研修設計
配属時研修では、理念や定義を教え込むのではなく、嬉しかった・不快だったサービス体験を振り返らせることで、おもてなしの心を自ら言語化させる。感情を客観視し、応対品質の土台を築いたうえで業務知識研修へ進む構造が取られている。
【おすすめ資料】
品質の高いコールセンターの仕組み
~成果と応対、それぞれの品質を確かめる「問い」~

概要
コンタクトセンターの応対品質は、スキルや話法だけで決まるものではありません。
背景にある理念や考え方が曖昧なままでは、現場での判断や感情のコントロールにばらつきが生じます。
今回は、WOWOWコミュニケーションズが掲げる「おもてなしの心」を軸に、理念をどのように現場の応対行動へと落とし込んでいるのかを具体的に解説しています。
理念と応対品質を接続する仕組みを知ることで、品質を再現性のあるものとして設計するヒントが得られます。
※前回「#2 コンタクトセンターの品質が歪むケース」はこちら
WOWOWコミュニケーションズの理念が大元にあり、応対品質に繋がる
━━━なぜ、WOWOWコミュニケーションズは応対品質が高いのでしょうか?
WOWOWコミュニケーションズは、さまざまな企業のコンタクトセンターを運営しています。
各クライアント企業様が求めるサービスや応対品質はそれぞれ異なりますが、WOWOWコミュニケーションズとしては軸がぶれず、どのコンタクトセンターにおいても共通の品質キーワードを掲げています。
それが「おもてなしの心」です。
以前も少し触れましたが、「おもてなし」というと高級旅館や高級デパートのような場をイメージしがちです。しかし、WOWOWコミュニケーションズにおける「おもてなしの心」はもっとシンプルで、「決して嫌な思いをさせない」ということが大前提です。
これは当然のことですが、接客の現場ではどうしても難しい場合もあります。その“当たり前”をまず軸とし、さらに「お客さまを想像し、期待に応える」という視点を加えたものを「おもてなしの心」と定義しています。
WOWOWコミュニケーションズが運営する全国のすべてのコンタクトセンターは、この考え方をベースとしており、ここをしっかりマインドセットしたうえで、それを体現するためのスキルやテクニックが浸透していることが、応対品質の高さにつながっているのだと思います。
━━━最終的に、コンタクトセンターの機能がアウトバウンドであれインバウンドであれ、また規模の大小にかかわらず、必ず「おもてなしの心」がベースにあるということですね。なぜ、「おもてなしの心」という言葉にたどり着いたのでしょうか?
実は、私がWOWOWコミュニケーションズに入社した時点で既にこの言葉は存在していました。創業当時の想いが背景にあるのかもしれません。
ところで、WOWOWコミュニケーションズの企業理念をご存じですか。
━━━存じ上げません…。
少し堅い話になりますが、WOWOWコミュニケーションズの企業理念は「私たちは卓越したコミュニケーションサービスを通じて新たな価値を創造し、社会に豊かさと楽しさを提供すること」です。
そのために、私たちはお客さまの真の満足を実現するため、常にお客様の視点に立つことを重視しています。ここでいう“お客さま”とは、コンタクトセンターが対応する一般ユーザー・消費者と、WOWOWコミュニケーションズと仕事をともにするクライアント企業様の双方を指します。
両方のお客様の視点に立ち、質の高いサービスを提供していくという考え方です。
ここからは私の推察ですが、この企業理念を噛み砕き、現場でお客様と接するオペレーターの方々にまで浸透させるには、「おもてなしの心」という言葉が非常にマッチしていたと考えます
━━━大元にはWOWOWコミュニケーションズさんの企業理念があり、それを支える言葉が「おもてなしの心」なのですね。確かに、おもてなしという言葉であれば、日本人なら小学生でも理解できる身近な表現です。
理念を現場に接合するプロセスとは?
━━━最終的にコンタクトセンターで応対をするオペレーターの方と消費者の接点にまで、理念から落とし込むにはどうつながっていくのでしょうか。「おもてなしの心が大事です」と伝えたところで、翌日からオペレーターの皆さんが急に実践できるわけではないと思います。どのようなプロセスを経て、理念が具体的な応対行動にまでつながっていくのでしょうか?
WOWOWコミュニケーションズでは、オペレーターとして入社後、コンタクトセンターに配属される際に「おもてなしの心とは何か」という研修を必ず受講します。
そこで行われるのは、一方的に「おもてなしの心とはこうだ」「企業理念はこうだ」と説明することではありません。企業理念があり、コンタクトセンターには“おもてなしの心”という品質ポリシーがある、という前提を共有したうえで、まずは日々の生活の中で受けた嬉しかったサービス、不快だったサービスを振り返ってもらいます。
不快だった出来事に「おもてなしの心」を感じられたか、もしそこにおもてなしの心があれば不快に感じなかったのではないか、といった点を個人ワークやグループディスカッションで考えます。
最終的には、自分たちは“おもてなしの心”をどのように体現する応対をするのか、ということを自ら言語化してもらいます。
こうしてしっかりとマインドセットが整ったうえで、業務知識や商品知識の研修に進むという流れをつくることで、応対品質の土台を築いています。
【コールセンターの研修】おもてなしの心研修 | 「おもてなし」とは、お客さまを想像する力。

━━━研修の例にあった「不快だったサービスにおもてなしの心があったらどうか」という問いですが、不快に感じたサービスにおもてなしの心が加わったら、実際に改善するのでしょうか。
改善というよりも、「もしおもてなしの心の要素があったら、そのとき不快だった気持ちが少し和らいだり、軽減したりしたのではないか」という視点で考えてもらうイメージです。
━━━確かに、不快な経験がマインドセットひとつで完全に解消されるのであれば、世の中は平和そのものだと思います。しかし、“おもてなしの心”を取り入れることで、少なくとも新しい視点がインプットされるわけですね。
考え方として提示する際には、「それは確かに不快で嫌な体験だよね。でも、もしせめて〇〇があったら、この不快さは少しは減っていたかな?」というような視点で考えてもらうことが重要です。
そうすると、「ここだけは譲れなかった」「これがあればそこまで不快にならなかった」という点に、自分で気付いていただけます。
━━━これはコンタクトセンターの話から外れてしまうかもしれませんが、そもそも、なぜ“不快なサービス”になってしまうのでしょうか。これまで研修で多くの方々の話を聞いてこられたと思うので、不快の根本的な要因があれば知りたいです。
その場で“おもてなしの心”を持てなかった、というのが一番大きい理由だと思います。持てなかった理由の裏側にはさまざまな事情があります。
例えば、新人の方だと「話し切ること」「説明をやり切ること」が目的になってしまい、相手に寄り添えないケースがあります。
また、電話チャネルではご高齢の方からのお問い合わせも多く、説明がうまく伝わらないと、オペレーターが焦りや苛立ちを感じてしまうことがあります。そうした感情が対応に表れてしまうと、相手の気持ちに寄り添えず、自身の感情が優先され、不快なサービスにつながりやすくなりますね。
━━━やや極端な言い方かもしれませんが、一種の自己コントロール――サイコパス的というと語弊がありますが――自分の感情を制御するために、抽象度の高い“おもてなしの心”というマインドセットを入れることで、逆に合理性が働き、感情をコントロールできるという構造が面白いと感じました。
そうですね。
“おもてなしの心”は理想論のようにも聞こえるかもしれません。しかし、理想がなければ始まりません。一方で、私たちも人間なので、体調や気分によって声に出てしまう日があるのも事実です。ただ、本来はそれがないに越したことはありません。
そして、万が一そうしたことが起こったとしても、個人を責めるのではなく、「この場面におもてなしの心はあったか? 少し足りなかったか? 足りなかったなら次はどうするか?」というように、起きてしまった事実を振り返り、品質を高めていくことが重要です。これは非常に地道な取り組みですね。
まとめ
WOWOWコミュニケーションズの理念と応対品質を支える仕組み
共通軸:おもてなしの心
すべてのコンタクトセンターで「決して嫌な思いをさせない」を基盤とした品質観を共有している。
理念翻訳:現場に届く言葉
企業理念を噛み砕き、オペレーターにも理解しやすい表現として「おもてなしの心」が機能している。
研修設計:マインドセット先行
体験の振り返りと言語化を通じて、感情をコントロールできる応対の土台を形成している。
一言まとめ:
応対品質の高さは、理念を現場行動へと橋渡しする言葉とプロセスを、地道に積み重ねた結果である。
【おすすめ資料】
品質の高いコールセンターの仕組み
~成果と応対、それぞれの品質を確かめる「問い」~
