#2 コンタクトセンターの品質が歪むケース
目次
要約
応対品質の低下は満足度の上限を下げる
声のトーンや言葉遣い、共感姿勢といった応対品質が歪むと、顔の見えない接客であるがゆえに「感じが悪い」と受け取られやすい。問題が解決しても減点方式で評価され、通話後の満足度を挽回する余地がなくなる。
業務品質の低下は機会損失とコスト増を招く
業務品質とは繋がりやすさや返信速度などのKPIを指し、レスポンスの遅さだけで顧客離脱につながる時代である。誤回答や対応遅延は顧客の持ち点を下げ、回復に余計な時間とコストを要する結果となる。
成果品質の偏重は中長期的な信頼を損なう
受注や獲得を重視しすぎると押し売り的な対応になり、一時的な成果は出ても顧客に嫌な期待を残す。一方で成果を追わなければ事業は成立しないため、応対・業務・成果の三要素のバランスが不可欠とされている。
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概要
コンタクトセンターでは、応対さえが完了すれば一定の評価は得られると考えてしまいがちです。
しかし実際には、応対やスピード、成果のどれかが欠けるだけで、お客さまの評価は簡単に下がってしまいます。
本稿では、応対品質・業務品質・成果品質のそれぞれが崩れた場合に起こる具体的なデメリットと、その背景を整理しています。
三つの品質をどう捉え、どうバランスさせるべきかを理解することで、顧客離脱を防ぎ、持続的な価値提供につなげる視点が得られます。
※前回「#1 品質の高いコンタクトセンターとは?はこちら
応対品質が悪いと、コンタクトセンターにどのようなデメリットがある?
━━━応対品質・成果品質・業務品質のバランスが崩れてしまった場合、コンタクトセンターの現場、またはその先にいるお客さまにとって、具体的にどのようなデメリットやアクシデント、リスクが生じるのでしょうか?
まず、一番“コンタクトセンターらしい”部分である応対品質についてお話しします。
これは一般的にはオペレーターの接客の質のことで、例えば声のトーンや言葉遣い、お客様に寄り添う姿勢や共感力といった、お客さまが直接感じる接客の質だと考えていただくとわかりやすいと思います。
応対品質が歪んでしまうと、お客さまは不快感や不信感を抱いてしまいます。
対面接客であれば「この店員さんは新人かな」と察してくれたり、研修中のバッジがあれば「仕方ないな」と寛容に受け止めてくれることもあります。
しかし、コンタクトセンターは顔の見えない接客なので、シンプルに「感じが悪い」と捉えられてしまう。
その結果、問題が解決しても、要件が満たされても、通話を終えた後の満足度以上は上がりません。
━━━つまり、こちら側が“それ以上満足は得られない”というアンカーを無意識に作ってしまうわけですね。減点方式ということですか。
その通りです。
お客さまがコンタクトセンターに連絡する時には、それぞれの価値観や基準で「このくらいの接客レベルだろう」という想定を無意識にしています。
応対品質が悪いと減点され、そのまま電話を切ったり、メールやチャットのやり取りが終了してしまうため、途中から挽回することができません。
業務品質が悪いと、コンタクトセンターにどのようなデメリットがある?
━━━続いて、業務品質の高低によっては、現場やお客様にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
そもそも業務品質とは、お客様との電話の繋がりやすさや、お問い合わせメールの返信速度など、コンタクトセンター運営事業者が必ず持っているKPIのようなものだと考えていただければ良いと思います。
今の時代、単純にレスポンスが遅いというだけで、より大きな問題につながってしまうんです。
━━━確かに、LINEは送った瞬間に既読が付くので、レスポンスのスピードは気になります。
そうなんです。
特に今はLINEでチャットボットを使って接客しているコンタクトセンターも多くあります。そこでレスポンスが遅いと「もういい、聞かない」とお客様が離脱してしまう。
そうなるとお客さまの問題は解決されませんし、購買意欲も、そこでしか買えない特別な商品でない限り、離れていってしまうと思います。
━━━厳しいですね。接客が強すぎても離れてしまう可能性があり、また業務品質の一例である返信スピードが遅くても離れてしまう。コンタクトセンターはその名の通り“コンタクト”する場所なのに、“正しいコンタクト”が起きなければ単純にお客様が離れてしまうということですね。
離れるというより、そもそもコンタクトが発生しなければ何も生まれない、というのが正しいかもしれません。
たとえクレームのご連絡であっても、その場で適切に対応し不満を和らげることができれば、再びご利用いただけるチャンスが生まれます。
しかし解決できなければ、そのチャンスはどんどん減っていきますし、間違った回答をしてしまった瞬間に、お客様の“持ち点”が下がってしまいますよね。
そうなると、減った持ち点を戻すために時間も手間もかかり、結果的に対応時間が長引いたり、コストが増えたりしてしまう。そういう意味でも、やはりバランスは非常に重要だと思います。
━━━最終的にはコンタクトしない=そのサービス・商品からの離脱・離反につながる可能性がある。つまり、コンタクトの「有無」だけでなく、コンタクトした「後」の接し方まで含めて、その裏側を支えているのが、この3つのバランスだということですね。奥が深いです。
成果品質が悪いと、コンタクトセンターにどのようなデメリットがある?
━━━最後に、成果品質が低い場合のデメリットについてお聞かせいただけますか。
成果品質というと、現在であれば獲得や受注といった指標があると思います。しかし、成果品質を追求し過ぎると、どうしても粗雑な接客になってしまいます。
いわゆる押し売りのような対応ですね。
今はあまり多くはないかもしれませんが、平成の頃には「お願いトーク」が流行していました。アップセルやクロスセルを行いながら、「これをご購入いただかないと難しいんですよね」といった話法を使う方もいました。
その瞬間は、受注が生まれ、お客様も新しい商品を手にして、一時的には双方とも気分が高揚するかもしれません。
しかし、本意ではない商品を手に入れてしまうと、その後は気持ちが下がる一方ですし、押し売りされれば当然気分は良くありません。次にコンタクトする際にも「また押し売りされるのではないか」という嫌な予感を抱くようになります。
━━━嫌な期待が生まれてしまうわけですね。
そのとおりです。嫌な期待が形成されますし、押し売りするあまり態度が冷たくなると、結果的に顧客満足度も下がります。
一方で、成果をまったく追わなくなると、コンタクトセンターは慈善事業ではありませんから、企業として成立しなくなってしまいます。したがって、やはりバランスを取ることが重要だと考えています。
まとめ
応対品質・業務品質・成果品質が崩れたときのコンタクトセンターのリスク
応対品質:減点評価の固定化
接客態度の悪さは不快感や不信感を生み、問題解決後でも満足度を引き上げられなくなる。
業務品質:離脱とコスト増大
レスポンス遅延や誤対応は顧客の持ち点を下げ、回復に時間とコストを要する。
成果品質:信頼の毀損
成果を追い過ぎた押し売りは短期的な受注と引き換えに、長期的な顧客関係を損なう。
一言まとめ:
コンタクトセンターの価値は、応対・業務・成果の三品質を同時に最適化し続けるバランス設計にある。
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