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#9 コンタクトセンターの成果品質が上がらない…どうする?

更新日:
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要約

コンタクトセンターの成果品質が上がらない…どうする?
成果未達が続く場合は、単なる努力不足ではなく「なぜ0が1にならないのか」という真因に向き合う必要がある。商品の強みを全員が徹底理解し、戦略として共有し、スクリプトへ落とし込むことでラストワンマイルを埋めていくことが重要である。

なぜ「お客さまの頭の中でイメージができるような意識が大切」なのか?
人は商品そのものではなく、購入後に得られる効果や期待値を含めて意思決定する。機能説明だけでは不十分で、利用シーンや生活情景を想起させることで潜在的な感情を刺激し、購入判断を後押しすることが成果向上の鍵となる。

「プロテイン」を販売しているコンタクトセンターの場合、どうなる?
購入意向はあるが迷っている顧客には、まず共感し、過去の利用経験や期待効果を丁寧にヒアリングする。仮説を立てて潜在ニーズを探り、否定されても失敗と捉えず情報整理と考えることで、最適提案へと導きクロージング精度を高めていく。

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概要

目標を設定しているにもかかわらず、コンタクトセンターの成果品質が伸び悩む状況に違和感を抱いていませんか?

その背景には、商品理解やトーク技術の問題だけでなく、「お客さまが購入後の姿を具体的に想像できているか」という視点の不足があります。

本稿では、インバウンド新規獲得を例に、強みの言語化とスクリプト設計の考え方、そして顧客の潜在感情を想定しながらラストワンマイルを埋める具体的手法を解説します。

読み進めることで、成果未達の背景を整理し、現場でのトーク設計を見直すヒントとしてご活用いただけます。

※前回「#8 コンタクトセンターの成果品質が低下するケースとは?」はこちら

スピーカー

関口 早奈恵

CRM本部WOWOW事業部コンタクトセンター課 WOWCOM College 兼務 | 業界経験25年、コンタクトセンター構築・運営事業に従事。カスタマーセンター札幌拠点の運営管理者として、クライアントとの折衝や施策立案~実運用までを担当。現在は管理者育成・テクノロジー活用の推進を中心に、運用の全体的な後方支援にも注力。

インタビュアー

原澤 耀

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。詳しくはこちら

コンタクトセンターの成果品質が上がらない…どうする?

━━━コンタクトセンターの成果品質がなかなか上がらない場合には、どのように考えればよいのでしょうか?

これについては、本当に終わりがなく、常に追い続けていくものだと考えています。

コンタクトセンターでは、大きく分けて、受電対応で獲得を行うインバウンドと、こちらから発信して獲得を行うアウトバウンドがありますが、まずはインバウンドの場合からお話しします。

インバウンドには、さらに二つのパターンがあると考えています。

一つ目は、明確にAという商品の購入目的で電話をかけてきた方に対し、追加で別の商品を提案する、いわゆるアップセルやクロスセルのケースです。

二つ目は、すでに会員である方や購入済みの方からの解約希望、あるいは定期購入の停止といった解約を抑止するケースです。これも広い意味では獲得行為に含まれると思いますが、今回は一つ目の、新規獲得のパターンに絞ってお話しします。

新規獲得の場面において、そもそも成果が低い場合、「この商品が欲しいです」「承知しました」というやり取りであれば、0件が1件になり、数字は積み上がっていきます。

しかし一方で、商品の購入を悩んでおり、価格や性能、効果などを確認したうえで判断したいという方の電話を、見込み顧客の状態のまま終えてしまうと、購入数は0のままです。

この0をいかに1に変えていくか、という点が重要になります。

━━━お客さまのベクトル自体は商品購入の方向に向いているものの、ゴールには到達していない状態、いわばラストワンマイルをどう埋めていくか、ということですね。

まさにそこが重要だと思います。

各センターや企業では、月間の獲得件数や獲得率といった目標を設定していると思いますが、未達の状態が続いている場合、まずはなぜそれが起きているのか、その真因、本当の理由に向き合う必要があります。

場合によっては、「この商品では勝てない」「売れない」といった本音が出てくることもあるかもしれません。

それでも、コンタクトセンターを運営する立場としては、どうすれば売っていけるのかを考えなければなりません。そのために、まずは商品の強みを全員が徹底的に理解し「ここを強みとして売っていこう」という戦略を共有することが不可欠だと考えています。

━━━まずは強みを理解し、言語化し、最終的には均一化していく、ということですね。

はい。理解したうえで、それをどのように話すスキルとして落とし込んでいくか、という点が重要になります。

━━━いわゆるトークスクリプトはどのように作っていくのでしょうか?私自身の営業時代の経験でも、「なんとなく売れる人」というのは確かに存在します。営業であれば、ボディランゲージや資料の使い方、商品の紹介方法などによって、ある程度は補えると思いますが、コンタクトセンターのように顔が見えないコミュニケーションにおいては、「強みはこれである」と分かったうえで、それをどのように言葉、ひいてはコミュニケーションとして落とし込んでいくのでしょうか?

先ほどお話ししたとおり、最終的な形としてはスクリプトやトークフレーズ集になります。

例えば、WOWOWの場合、現在の月額料金は〇〇円です。商品購入を検討しているお客様から「いくらですか」と聞かれ、「〇〇円です」と結論だけを伝えても、迷っている方がそれだけで購入を決めることはほとんどありません。

そこで、前回お話しした「なぜ人は車を買うのか」という話と同様に、月額〇〇円で、どのような生活や楽しみが得られるのかを、お客様が具体的にイメージできるようなトークを作っていきます。

━━━面白いですね。オペレーターの方が話している内容を聞いたお客様が、頭の中でその情景を思い描けているかどうか、イメージを喚起できているかどうかが、コンタクトセンターにとってのゴールということでしょうか?

そうですね。

現在では配信会社も増え、映画やドラマはWOWOW以外でも視聴できる環境になっています。そのため、金額だけを見ると、WOWOWはやや高い印象を持たれることもあります。

そこで、WOWOWの強みは何かと考えると、実は契約の種類によっては、コンテンツをハードディスクなどに録画できる点にあります。

これを単に「〇〇円で録画できます」と伝えるだけでは、機能を説明したに過ぎず、印象には残りません。そこで、「録画ができるのでコレクションとして保存していただけます」とか、「まだ発売されていない作品を、発売までの間もお楽しみいただけます」といったように、具体的な利用シーンを伝えます。

さらに、「ハードディスクがいっぱいになってしまうので、DVDにしてご自身でコレクションされているお客様もいらっしゃいます」といった形で、WOWOWのある生活を家庭内の情景としてイメージできるようなトークを用いて、セールスを行っていきます。

なぜ「お客さまの頭の中でイメージができるような意識が大切」なのか?

━━━スクリプトやフレーズ、いわば“術”について教えていただきましたが、その術を構築する際の関口さんの意識や考え方、価値観としては、やはりお客様が生活レベルで具体的にイメージできるようにすることを重視されている、という理解でよろしいでしょうか?

そうですね。

━━━ちなみに、なぜお客さまの頭の中でイメージができるような意識が大切だ、という考えに至ったのでしょうか?

人は物そのものを買っているのではなく、そのお金を支払うことで得られる効果や期待値を含めて購入しているからです。

「それを買ったらどうなるのか」が想像できなければ、真の意味での購入には至りません。

例えば「喉が渇いたから水を買う」という行動も、たまたま水しかなかったから水を選ぶ場合もあれば、少し喉がイガイガしているから今日はレモン水にしよう、という場合もあります。

レモン水を選ぶとき、意識していなくても、そこには何らかの潜在的な気持ちが働いています。

その潜在的な気持ちをいかに刺激できるかによって、獲得が伸びるかどうかが変わってきます。

━━━「潜在的な気持ち」は、おもしろい観点ですね。潜在的である以上、正直なところ仮説の域を出ない部分もあると思います。その潜在的な感情や気持ちは何なのかと考えたとき、毎回立ち返るのが「おもてなしの心」になるわけですね。

そうですね。おもてなしの心がなければ、お客様が潜在的に何に不安を感じ、何に不満を抱いているのかを理解することができない。その前提を、常に考えています。

「プロテイン」を販売しているコンタクトセンターの場合、どうなる?

━━━最後にシミュレーションとして質問させてください。

相談者の状況・属性

  • ターゲット: 30代男性。
  • 経験値: 過去に多種多様なプロテインの購入・使用経験がある。
  • 現在の課題: 選択肢が多すぎて、自分に最適なものが選べなくなっている。

問い合わせの性質

  • 経路: インバウンド(電話による問い合わせ)。
  • 温度感: 購入意向はあるが、あと一歩の確信が持てず迷っている。
  • 目的: 「このプロテインが良いのではないか」という自分の見立てを確認したい。

━━━この場合、どのように対応されますか。

まずは、すでにいろいろ試して悩んでいるという状況に対して、いったん寄り添います。

「そうですよね。今は本当にプロテインの種類が多くて、選ぶのも悩みますよね」といった共感から入ります。

そのうえで、「差し支えなければ、これまでどのようなプロテインを試されてきたのか、お伺いしてもよろしいでしょうか」と続けます。

━━━例えばその返答が「いわゆる大手企業の、誰もが知っているような商品と、YouTubeで筋トレ系の発信をしている方が展開している少しニッチな商品を試していました。ちょうどどちらも使い切ったので、次も同じものを購入するか、新しいものに変えるかで悩んでいます。」の場合はどうなりますか?

その場合…

「ありがとうございます。原澤さんは、プロテインを飲むことで、どのような効果を期待されていますか?」

━━━「少し筋トレを始めたということと、やはりタンパク質は大事だという認識があります。また、仕事が少し忙しいので、手軽にタンパク質を摂取できたらありがたいな、と思っています。」と回答します。

そうしますと、30代男性の原澤さんは、大手の商品もニッチな商品も一通り試されてきたものの、近い将来ボディビルの大会に出場する、といった明確な競技志向があるわけではない。

現状としては、軽く筋トレを始めており、それに見合った筋肉をつけながら、栄養もしっかり摂りたいと考えていらっしゃる。

さらに、お忙しい状況であることを踏まえると、どちらかといえば腹持ちが良く、場合によっては食事の代わりにもなるようなものを求めているのではないか、といった点を確認します。

そのうえで、例えば腹持ちの良さが特長のAという商品が弊社にあるのであれば、「お話を伺っていて、このような商品がお好みなのではないかと感じましたが、いかがでしょうか」とご提案します。

━━━すごい。今お話を伺っていて、特に驚いたのが最後の腹持ちのお話です。こちらからは伝えていなかったのですが、実は朝食の代わりにしているんです。朝はどうしても慌ただしい中でも栄養を摂りたいですし、おっしゃる通り、ある程度の腹持ちも欲しい。その意味で「腹持ちが良い」という点は、まさに求めていた要素でした。これは、先ほどお話されていた潜在的な感情や気持ちを想定した結果、ということなのでしょうか?

そうですね。結局のところは「おもてなし」だと思っています。期待に応えたい相手を具体的に想像することが大切です。

30代の男性であれば「もしかするとこうしたニーズがあるのではないか?」という仮説を立てて質問をしています。

仮にお客様から「腹持ちは特に気にしていません」と言われたとしても、「トークを失敗した」とは捉えません。新たな情報を教えていただいた、という認識になります。

その場合は「教えていただきありがとうございます。それでは、どのような効果を得たいのか、何を期待されているのか、もう少し詳しくお聞かせください」と話を進めていきます。

つまり、ご自身が提示した情報に対して否定されたとしても、それをクロージングの失敗とは捉えず、選択肢が一つ整理されたと考え、別の選択肢を提示していく、ということです。

ただし、その前提として潜在的な気持ちや感情をいくつか想定しているからこそ、どこかには必ず当たる。そうでなければ、そもそも電話をかけるという行動自体が起きません。

━━━話を聞いていて、いくらでも掘り下げられそうだと感じました。今回は、インバウンドで商品購入を検討されているお客様に対して、裏側でどのような思考をされているのかを伺いましたので、次回はインバウンドの会員様が解約を希望される場合、いわゆる解約抑止についてお話を伺っていきたいと思います。

まとめ:コンタクトセンターの成果品質が上がらない場合の打ち手とは?

0を1に変える視点
購入意向はあるが未決定の顧客に対し、真因を分析しラストワンマイルを埋める。

イメージ喚起の重要性
機能説明ではなく、利用後の生活情景を具体化することで潜在感情を動かす。

仮説思考とおもてなし
顧客の潜在ニーズを仮説で探り、否定も情報と捉えながら最適解へ導く。

コンタクトセンターにおける成果向上は、商品理解とトーク技術の積み重ねに加え、「顧客の頭の中にどんな未来を描かせるか」という設計思想にかかっている。

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この記事を書いた人

猪越 みなみ

2023年WOWOWコミュニケーションズ入社。 過去カスタマーサポート、BPO業務のソリューションセールスに従事。 現在は、営業の経験を活かし、BtoBマーケティング領域の営業企画を担当。

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