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#8 コンタクトセンターの成果品質が低下するケースとは?

更新日:
#8 コンタクトセンターの成果品質が低下するケースとは?

要約

コンタクトセンターの成果品質は、どのような場合の時に低下する?
成果品質の低下には、もともと高かった水準が急落する場合と、一定水準から伸び悩む場合がある。ハイパフォーマーの退職やSV交代、商品変更など内的要因の影響が大きく、まずは時系列を整理し、事実に基づいて要因を特定することが重要である。

成果品質がなだらかに下がる…なぜ?
外的要因を理由にするのは容易だが、本質は変化に対する初期対応の遅れにある。数字を継続的に追えば定量的変化には気付けるが、クレーム増加やパフォーマンス低下などの定性的変化を見逃すと、徐々にセンター全体の機能が弱まっていく。

成果品質が下がっている…具体的な対策は?
スクリプト改訂やFAQ整備、比較資料作成などの施策は有効だが、前提として現場で何が起きているかを正確に把握することが不可欠である。SVが「三配り」を実践し、オペレーターの不安や小さな変化に早期に気付く仕組みが、安定した成果の土台となる。

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概要

コンタクトセンターの成果品質が下がっているにもかかわらず、その原因が曖昧なまま対策を打っていないでしょうか。

成果品質の低下には明確なパターンがあり、時系列で整理することで要因を特定できます。

本稿では、急激な低下と緩やかな低下の違い、内的要因の見極め方、そして現場で機能する具体策について解説します。

成果品質の変化を早期に察知し、再現性のある改善プロセス構築のヒントとしてご活用いただけます。

※前回「#7 コンタクトセンターにおける成果品質とは?」はこちら

スピーカー

関口 早奈恵

CRM本部WOWOW事業部コンタクトセンター課 WOWCOM College 兼務 | 業界経験25年、コンタクトセンター構築・運営事業に従事。カスタマーセンター札幌拠点の運営管理者として、クライアントとの折衝や施策立案~実運用までを担当。現在は管理者育成・テクノロジー活用の推進を中心に、運用の全体的な後方支援にも注力。

インタビュアー

原澤 耀

合同会社HARAFUJI Co-Founder COO | 大学在学中の19歳より株式会社ギャプライズにてBtoCデジタルマーケティング、BtoBマーケティング、法人営業に従事。その後、チーターデジタル株式会社にて法人営業を経て、 現在は合同会社HARAFUJIの共同創業者として独立。BtoBマーケティングを中心とした戦略および戦術支援事業に従事している。詳しくはこちら

コンタクトセンターの成果品質は、どのような場合の時に低下する?

━━━コンタクトセンターの成果品質というのは、どのような場合に低下してしまうのでしょうか?

成果品質が低くなるケースには、もともと高かったものが下がる場合と、一定水準からなかなか上がらない場合の、両方のパターンがあると考えています。

もともと高かった成果品質が下がっている場合は、やはりその要因を特定する必要があります。

例えば、獲得や受注を行っているコンタクトセンターでは、ハイパフォーマーと呼ばれる非常に成績の良いオペレーターが全体を牽引しているケースが少なくありません。そのため、その方が退職してしまうと、成果に直接的な影響が出て、数値が下がることはよくあります。

一方で、成果品質を高めるためにさまざまな研修やロールプレイを実施し、一人ひとりの育成に取り組んでいるにもかかわらず成果が上がらない場合は、そもそも実施している取り組みが、そのコンタクトセンターが目指す成果品質を達成するために必要なプロセスとして適切なのかを疑う必要があります。

スクリプトを変更しよう、切り返しトークの種類を増やそうといった施策は取り組みやすく、私たち自身も過去に行ってきましたが、それではスクリプトを変えること自体が目的になってしまいがちです。

現在のスクリプトのどこが響いていて、どこが響いていないのかを十分に検討しないまま、これまでうまくいっていたから問題ないだろうという思い込みで施策を進めるのは危険だと考えています。

━━━もともと高かった成果品質が低下した場合、その要因を見つける際に、まず最初にどこを見直されますか?

まず確認するのは、いつからその状態になったのかという時系列です。徐々に下がっていったのか、ある時点を境に急激に下がったのかを見ます。

本来であれば、成果が下がっていることに現場が気付いているべきですが、「最近少し下がっているが、季節要因や環境要因による多少の変動だろう」と捉えられ、見過ごされていることもあります。そこから、いよいよ何かおかしいと認識されるケースもあります。

コンタクトセンターに限らず、問題解決の基本的なプロセスですが、まずは時系列を整理し、いつを起点に下がっているのか、その時期に何が起きていたのかという事実情報を集めます。その上で仮説を立てていきます。

もしハイパフォーマーが退職したという事実があるのであれば、その方を再び雇用することはできませんので、まずはその事実を受け入れたうえで、次に何ができるのか、どこから着手できるのかを洗い出し、即効性がありそうな施策に当たりをつけて進めていきます。

━━━ハイパフォーマーの方が抜けるというのは分かりやすい要因だと思いますが、急激に成果が下がる場合、ハイパフォーマーの退職以外にも要因はありますか?

最も大きな要因はハイパフォーマーの存在ですが、それ以外にも、コンタクトセンター側でスーパーバイザーが異動や転勤によって交代し、運営のやり方が変わることで、現場が新しい方針に適応するまでに時間がかかり、その過程で成果に変化が生じるケースもあります。

━━━やはり、成果品質が急激に下がる場合は、人員に起因する要因が大きいのでしょうか?

人員の要因に加えて、取り扱っている製品や商品、サービスの内容が大きく変わった場合も該当します。

人員や製品といった要素を内的要因と捉えた場合、やはり内的要因の影響が大きいです。

成果品質がなだらかに下がる…なぜ?

━━━「なだらかに成果品質が下がっていくケース」は、どのような要因や背景が考えられるのでしょうか?

この点についても、サービス内容が変わった、商品の仕様や価格が変わったといった外的要因を理由にすることは簡単ですが、外的要因はコンタクトセンターを運営する側ではコントロールできない領域です。

そのため、まずはそれらの要因のせいにしないということを大前提にしています。

なだらかに下がり始めたきっかけ自体は、例えばサービスや商品が変更されたといった外的要因であった可能性もあります。

しかし、その変化に対して初期段階で適切な対応やアプローチが行われなかったことが、結果として成果品質の低下につながっているケースが多いと考えています。

━━━成果品質がなだらかに下がっている状況を見たとき、それは経験則で分かるものなのでしょうか?それとも、数字を追っていれば把握できるものなのでしょうか?

数字を毎月、毎週きちんと追っていれば、必ずどこかのタイミングで変化には気付けます。

定量的な変化については、気付かなければならないですし、必ず気付くものです。

一方で、定性的な変化については、初期対応が行われなかったことによって、センターの中が少しずつうまく回らなくなっていくケースがあります。例えば、クレームが徐々に増えたり、これまでパフォーマンスが高かった人が少し不調になったり、分かりやすい例では獲得件数がゼロの日が続いたりといったことです。

定性的な変化も必ず起きているはずなので、そこに気付けるかどうかは、SVの経験値にも左右されます。ただ、数字を見て定量的な変化に気付くことができれば、「最近センターの様子が少しおかしいな」といった定性的な違和感にもつながります。その意味で、両方の側面があります。

━━━定性的な要因には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

例えば、先ほど挙げたように、サービスや商品が変更された際に、それに対する十分な初期対応がなされていない場合、そのしわ寄せはすべて顧客対応を行うオペレーターに集中します。

うまく案内したいのにできない、獲得セールスのトークがうまく出てこない。例えば、お客様から「以前の商品と今の商品は何が違うのですか」と聞かれても、「そうですね……」と答えに詰まってしまえば、その時点で成果にはつながりません。

成果品質が下がっている…具体的な対策は?

━━━具体的な対策としては、新たなスクリプトを用意したり、トレーニングを実施したりするイメージでしょうか?

最終的には、スクリプトを変更するのか、オペレーターが分かりやすく説明できるように旧商品と新商品の比較表のような資料を作成するのか、あるいはFAQを整備するのか、といった対応を実施します。

ただ、その前段階として、今センターで何が起きているのかを正しく見極めることが何より大切です。

お客様にうまく提案できず、不安にさせてしまっている場合、実は案内しているオペレーター自身は、お客様以上に不安を感じています。

その不安を抱えたまま、トークがうまくいかずにお客様からお叱りを受けるような日が続けば、心が折れてしまいますよね。

そうした状況でオペレーターが困っていることにSVが早い段階で気付き、適切に対処しなければ、コンタクトセンター全体が徐々に沈んでいき、雰囲気も暗くなっていきます。そのような状態のセンターで安定して成果を出すことは、やはり難しいと思います。

━━━今お話にあった、オペレーターの方々の不安といったものは、そもそもどのようにして気付くのでしょうか?

分かりやすい例で言えば、ハイパフォーマーの方が最近調子を落としているというケースが最も気付きやすいですね。

ただ、それだけではなく、これまで常にミドル層だった方がミドルから下がり、ローパフォーマーになってしまったり、普段は応対クレームを起こさないような方がクレームを起こしてしまったりといった、「いつもと違う」小さな変化があります。

そうした変化に対して、SVが目配り・気配り・心配りのいわゆる「三配り」をできていれば、比較的早い段階で気付くことができます。

━━━つまり、大前提として全員がおもてなしの心を持っているという前提があるからこそ、社外のお客様だけでなく、社内のオペレーターに対してもおもてなしの心が向けられ、その結果、ちょっとした変化にも気付きやすくなる、ということですね。

その通りです。

━━━マインドセットというと、どうしても抽象的な話になりがちですが、今のお話を伺っていると、かなり仕組み化されたマインドセットだと感じます。「仕組み化されたマインドセット」というのは少しおかしな表現かもしれませんが、そうした土台があるからこそ、気付く力が高まるということですね。

まとめ:コンタクトセンターの成果品質は、どのような場合の時に低下する?

急激な低下は内的要因が中心
ハイパフォーマー退職やSV交代、商品変更など、人員や運営体制の変化が大きく影響する。

緩やかな低下は初期対応の遅れ
外的変化そのものよりも、変化への適応不足や現場フォローの欠如が品質低下を招く。

対策は原因特定が前提
スクリプト修正や資料整備よりも、時系列整理と現場観察による正確な状況把握が最優先である。

まとめ
成果品質の改善は施策の量ではなく、変化への気付きと初動対応の質によって決まる。

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この記事を書いた人

猪越 みなみ

2023年WOWOWコミュニケーションズ入社。 過去カスタマーサポート、BPO業務のソリューションセールスに従事。 現在は、営業の経験を活かし、BtoBマーケティング領域の営業企画を担当。

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