#12 コンタクトセンターにおける“業務品質”とは?
要約
業務品質とコンタクトセンターKPIの基本
応答率・接続率・解決率といった定量的なKPIが業務品質の核心であり、基本となる指標は業界共通である一方、商材の特性によって重視すべき指標の優先順位が変わることを解説しています。
応答率を支える人員配置の考え方
応答率は業務品質の最重要指標であり、それを支えるのは採用・育成・定着・スキルアップという一連の人員サイクルです。
現状把握を目的化させないためのコミュニケーション
集計作業の自動化でエネルギーを省力化し、生まれた余力を課題改善に向けるためのコミュニケーションのあり方を具体的に示しています。
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概要
コンタクトセンターの運営において「業務品質」という言葉はよく使われますが、その定義や改善のポイントを体系的に整理できている組織は多くありません。
応答率ひとつを取っても、その裏には採用・育成・定着という複雑なサイクルが連動しており、単純な数値管理では本質的な改善につながらないことがあります。
また、データを集計しているだけで現状把握が目的化してしまうという落とし穴も、多くのセンターが直面する共通課題です。
本稿では、業務品質の定義や主要KPIの考え方・応答率を支える人員管理・現場への問いかけを軸にした品質改善の取り組みについて解説します。コンタクトセンターの運営担当者・管理職・経営者の方々にとって、日々の運営を考える際の一助としてご活用ください。
※前回「#11 アウトバウンドのコンタクトセンターで成果品質を高めるには?」はこちら
業務品質とコンタクトセンターKPIの基本
━━━コンタクトセンターにおける、業務品質とは何ですか?
コンタクトセンターの運営における業務品質とは、接続率・応答率・解決率といったKPIで表される、いわゆる運営事業としての品質指標を指します。
例えば、電話を例に挙げると、100本の着信に対して80本に応答できる体制なのか、90本に応答できる体制を目指すのか——その水準を設定し、維持・向上させていくことが業務品質の本質です。
━━━業務品質は定量的に落とし込めるという理解でよろしいでしょうか。
はい、そのとおりです。
━━━応答率を例として挙げていただきましたが、取り扱う商材によって変わってくるのでしょうか。
変わります。
━━━共通した基本形があるのか、それとも商材ごとに大きく異なるのでしょうか。基本的なKPIを持ちながら商材に応じて追加・強化していくイメージでしょうか。
業界全体で見た場合、一般的なKPIはおおよそ共通していると考えています。
例えば、接続率・応答率といった接続関連の指標、つながるまでの時間を示すサービスレベル、顧客満足度やNPSなどが代表的なものです。また、センターの効率・生産性に関する指標として、ブース稼働率や1応答あたりのコストなど、いくつかのカテゴリーに分かれています。
これらに紐づく定量的なKPIは、基本的には各社共通している部分が多いといえます。ただし、取り扱う商材によって特定の指標をそれほど重視しない場合や、逆に絶対に死守すべき指標と位置づける場合があり、その優先順位は異なります。
応答率を支える人員配置の考え方
━━━業務品質向上において、WOWOWコミュニケーションズとして特にこだわっている点や意識的に取り組まれている点はありますか?
最も重要で絶対に死守しなければならないのは応答率です。
かかってきた電話に対してオペレーターが応答した割合・件数——そもそもここが低ければ、顧客満足につながりません。かけても30分・1時間待たされるような状況は、業務品質としてあるべき姿ではないため、応答率の確保は必須事項です。
━━━基本の徹底を死守するために取り組まれていること、意識していることはありますか?
かかってきた電話を取るということは、そこに人がいなければならないということです。
したがって、応答を支えているのは人員配置であるといえます。 どの業界も人手不足の状況にある中で、いかに応答を死守するかという点について、WOWOWコミュニケーションズもトライアンドエラーを重ねながら取り組んでいます。ここが最も工夫すべきポイントです。
━━━人の配置というのは、採用とはまた別の話でしょうか?
採用し、育成し、着台させることがまず必要です。
入り口で入社した人材を定着させ、途中で離脱させることなくデビューさせること——デビュー後は着台を継続させ、離職させずに定着してもらいます。
そして定着している間に、さまざまな問い合わせに対応できるようスキルアップしてもらい、対応範囲を広げていくという活動になります。
━━━単に応答率を死守するだけでなく、採用後の各フェーズが連動しながら回っているのですね。業務品質を高めるためには、具体的にどのようなことが必要でしょうか?
応対品質や成果品質も含め、常に現状を正しく理解・把握することが重要です。
日々の業務が忙しいと、昨日や今月の結果を集計すること自体が目的化し、「今月は良かった」という確認で終わってしまいがちです。また、外的要因によって応答率が低下した場合に、「こうした理由があったから仕方がない」と結論づけて終わってしまうこともあります。
結果が良くても悪くても、当事者意識を持ち、自分事として捉えることが必要です。
良い結果であっても「他に工夫できることはなかったか」、悪い結果であっても「本当にこれで良かったのか」と考え続けなければなりません。 現状を正しく理解し、当たり前だと思えることであっても疑い続ける——この繰り返しがなければ、品質は向上しないと考えています。
現状把握を目的化させないためのコミュニケーション
━━━集計や現状把握が目的化しないために、WOWOWコミュニケーションズとして取り組んでいることはありますか?
まず、集計そのものが目的にならないように、集計にかかる工数を削減し、誰でもできる状態にすることです。自動化やAIの活用によって、集計に過度なパワーをかけない仕組みを整えます。
そのうえで、出てきた数字としっかり向き合う時間を確保します。スーパーバイザーの周囲にいる先輩や部門長が諦めることなく向き合い、徹底的に壁打ちを行うことが重要です。
━━━集計作業にエネルギーを割かないことと、最終的にはコミュニケーションが鍵になるということですね。
そのとおりです。工数を削減することでエネルギーを省力化できるため、その分を課題改善に充てることができます。省力化によって生まれた余力を、改善活動に振り向けるイメージです。
━━━現場を統括するリーダーとのコミュニケーションについて、意識していることや工夫されていることはありますか。
結論としては、諦めずに問いかけを続けることに尽きます。
例えば、応答率の目標が80%であったにもかかわらず65%にとどまった場合、その要因を確認します。原因が想定外のトラブルであれば、そのトラブルに対してどのような打ち手を講じたのか、事前に想定できた事象だったのかを問い続けます。
さらに、同様の事象が再度発生した場合にどのような行動が取れるかを問いかけ、言語化します。そのうえで、65%だったものを次回は70%に引き上げられるよう、具体的なアクションとアプローチを決定します。
決定した内容は、スーパーバイザーからその下のリーダー層へ確実に落とし込み、次に同様の事象が起きた際に実行できるよう継続していきます。
━━━問いかけを諦めないという姿勢は重要ですが、受け手が「詰められている」と感じてしまう場合もあるのではないでしょうか。そうならないために意識されていることはありますか?
一つ目は、その人個人にフォーカスするのではなく、出来事にフォーカスすることです。
二つ目は、センターとして何ができるかを考えてもらうことです。問いかける段階では「この状況が今後起きた場合、センターとしてできることは何か」「制約を取り払ったとしたら、何があればもう少し良い結果になったか」といった観点で考えてもらいます。
また、これを1対1で完結させるのではなく、例えばスーパーバイザーが5名いるのであれば、5名で壁打ちを行い、議論のうえで導き出した結論を持ち帰ってもらう形を取っています。
━━━個人ではなく出来事に焦点を当て、「あなたができること」ではなく「組織としてできること」に焦点を当てるということですね。
ただし、「センターとしてこれを実施する」とだけ結論づけてしまうと、責任の所在が曖昧になります。そのため、「これはスーパーバイザー5名の合意した結論である」と明確にしたうえで、それを実行するためのタスクを個人単位に分解し、役割分担を行います。
まとめ:コンタクトセンターの業務品質を高める実践ポイント
KPIは業界共通、優先順位は商材次第
接続率・応答率・サービスレベルなどの定量的なKPIは業界全体でおおむね共通していますが、商材ごとに重視する指標の優先順位は異なります。
応答率は人員サイクル全体で支える
応答率の確保は最優先事項であり、その裏では採用・育成・定着・スキルアップという人員管理の一連のサイクルが連動して機能しています。
集計の省力化と問いかけの継続が品質改善を動かす
自動化・AI活用で集計工数を削減し、生まれた余力を課題改善のコミュニケーションに充てることが、業務品質向上の実践的なアプローチです。
まとめ
業務品質の向上は、KPIの定義と優先順位の明確化に始まり、応答率を支える人員管理の仕組みと、現場への諦めない問いかけを組み合わせることで初めて実現できます。
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