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プロセスを最適化して成果を上げる。コールセンターのKPIマネジメント

かつてコールセンターは「コストセンター」と呼ばれ、利益を生み出さない部署と考える企業も多くありました。しかし、顧客満足度の向上により顧客生涯価値(LTV)を高めることが重視される昨今において、コールセンターの価値が見直されています。

コールセンターでの対応が顧客満足度を左右することは、すでに自明のこと。コールセンターの価値を高めるためには、明確な目標(KGI)と適切なKPIの設定が必要です。顧客に満足してもらえるコールセンターをつくり上げるために欠かせない、KPIについて詳しく解説します。

KGIとKPIの違いを理解しよう

KPIを取り入れるためには、まずKGIを理解する必要があります。

KGIとはKey Goal Indicatorsの略称で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。つまり、最終的に達成したい目標がKGIです。KGIをあいまいにしておくと、当初の期待とは違った結果となったり、達成までのプロセスが不明確になったりして、労力の浪費になりかねません。自社の利益につながるような目標をKGIとして具体的に設定することで、成果を期待できるのです。

KPIとはKey Performance Indicatorsの略称で、日本語で「重要業績評価指標」と約されます。KPIは、KGIの達成を目指す過程でクリアすべき中間指標にあたります。例えば、「単月売上1,000万円」といったKGIを達成するために、「リピート率10%アップ」や「新商品を毎月最低でも1点追加する」といった指標がKPIです。

通常、最終的な目標に到達するには、いくつかのステップを踏む必要があります。そのため、KGIを把握していても、中間のステップが明確ではない場合は目標達成が難しくなるのです。KPIを的確に設定することでKGIの達成につながり、目標共有やスタッフの意思統一にも役立ちます。部署を管理するマネージャーにとっては、中間地点でのクリア目標が見える化されるため、進捗管理がしやすくなるというメリットがあります。

KPIの種類

KPIにはいくつかの種類があり、コールセンターの成長・管理においてもさまざまな指標が提唱されています。コールセンターで設定すべきKPIとしては、「生産性を表す指標」と「品質を表す指標」というふたつが代表的です。ここでは代表的なKPI指標の考え方をみていきましょう。

生産性を表す指標

  • CPH (Call Per Hour:1時間あたりの対応件数)
    CPHは、対応件数を稼働時間で割った数値です。CPHが高いほど、オペレーターが効率的に顧客対応をしていることがわかります。
  • ATT(Average Talk Time:平均通話時間)
    ATTは1コールあたりの平均応答時間です。応答時間の長さによって、かかるコストもふくらみます。ATTの改善はコスト削減に効果的です。ただし、コストばかりを意識しすぎて、実際の顧客対応が雑にならないように注意しましょう。
  • ACW(After Call Work:平均後処理時間)
    応答記録入力作業の要望の整理など、通話後の作業に要する時間をACWといいます。オペレーターの能力によって差が出やすいKPIであり、最初に能力平準化を実施する必要があります。
  • AHT(Average Handling Time:平均処理時間)
    ATTとACWを足して、1件あたりの平均的な処理時間を表したのがAHTです。オペレーター業務の総合的な能力を表した数値といえることから、AHTを自社のKPIとして設定するケースも多いようです。
  • CES(Customer Effort Score:顧客努力指標)
    CESはコールセンターの収益性に関連する指標で、「顧客が努力を強いられることなく、自身の課題・問題を解決できたか」を表します。この指標が高いほど、顧客ロイヤリティが向上していることを意味します。顧客生涯価値(LTV)を高めるために重要な指標であり、一般的に、アンケートなどを利用して算出されています。

品質を表す指標

  • 応答率
    コールセンターのKPIとしては基本的な指標で、確実におさえておきたいのが「応答率」です。応答率が低いと、コールセンターとしての機能が果たせていないことになります。
  • モニタリング評価
    スーパーバイザーが定期的にオペレーターの対応力をモニタリングし評価します。対応品質のように数値には表れにくい部分を可視化するのが大きな目的です。ただし、評価者のスキルや視点によって、評価にバラつきがでやすいため、評価基準を明確にする必要があるでしょう。

KPIを達成するには?

上述したように、KPIの項目は複数ありますが、必ずしもすべての指標を取り入れる必要はありません。ポイントは、現状と目標のギャップを洗い出し、自社にとって適切なKPIを設定すること。まずは自社の現状を分析し、欠けているKPIを発見したうえで、具体的な指標を設定し改善に務めましょう。

また、計画の実行にあたってはPDCAサイクルを回していくことも大切です。一度設定したKPIが将来的にも常に正しい指標であるとはかぎりません。改善を積み重ねながら、コールセンターの対応力を向上させる施策を進めていきましょう。

コストセンターからプロフィットセンターへ

コールセンターがコストセンターと揶揄(やゆ)されてしまう原因のひとつに、成果が見えにくいという点が挙げられます。しかし、KPIを設定すれば、成果が見える化でき、生産性アップへの道筋も発見しやすくなるはずです。KPIを適切に設定し、「コストセンター」から、利益をもたらす「プロフィットセンター」へと切り替えていきましょう。

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参考:

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