顧客とのタッチポイントはどう生かす?目的や種類、設計方法を解説

顧客とのタッチポイントはどう生かす?目的や種類、設計方法を解説

タッチポイント(顧客接点)とは、企業と顧客が関わるさまざまな機会のことです。競争が激化する市場で企業が勝ち抜いていくためには、タッチポイントを戦略的に設計することが非常に重要となります。本記事では、タッチポイントとは何か、種類や目的、設計方法とポイント、成果を生み出した事例まで解説します。

タッチポイントとは?

「タッチポイント」とは、「顧客接点」を意味するマーケティング用語で、「コンタクトポイント」という名称が使われることもあります。企業と顧客が関わる接点を指し、例えば、BtoC(企業×消費者)ならば、店頭での接客やWeb広告、BtoB(企業×企業)ならば、営業や商談の場などが挙げられます。

近年、タッチポイントの機会を増やし、施策を強化する重要性が増しています。以前、広告媒体が限られていた時代には、テレビCMや新聞など、タッチポイントは限られたものしかありませんでした。しかし、インターネットの普及により広告媒体が増加していると同時に、消費者の購買行動やニーズが多様化しているため、多くの企業がマーケティング手法の見直しを迫られています。

特に強化すべきなのは、オンライン上でのタッチポイントです。昨今、インターネットを利用する消費者が増え、情報収集や商品・サービス購入の手段として活用しています。なかでも、Z世代と呼ばれる若者達は、実店舗よりもInstagramやYouTube、TwitterなどのSNSを通じて、商品・サービスと出会う傾向が見られます。企業においてもオンラインマーケティングは欠かせないものであり、新たなアプローチ方法として、オンライン上でのタッチポイント構築を検討する必要があるでしょう。

タッチポイントの種類

タッチポイントの種類に明確な定義はありませんが、購入プロセスにおけるタッチポイントとして「購買前」「購買時」「購買後」の3つに大別できます。それぞれオンライン、オフラインに分けられ、以下のような種類があります。

  • 購買前タッチポイント
    オンライン:Webサイト、メールマガジン、口コミサイトなど
    オフライン:会社パンフレット、チラシ、カタログなど
  • 購買時タッチポイント
    オンライン:ECサイト、オンライン商談など
    オフライン:店頭での接客、営業活動など
  • 購買後タッチポイント
    オンライン:カスタマーサポート、アフターフォローなど
    オフライン:保守・メンテナンスなど

これらは、あくまで一例です。最近では、SNSや独自のアプリを通じてタッチポイントを増やしている企業も見られます。自社の商品・サービスのターゲットに合ったタッチポイントを選び、うまく組み合わせて活用していきましょう。

タッチポイント設定の目的

タッチポイントを設定する際は、目的を明確にしておく必要があります。代表的な目的を3つ紹介しましょう。以下からひとつに絞る必要はなく、それぞれのポイントを理解したうえで施策を検討することが大切です。

顧客ニーズの把握

インターネットの普及によりタッチポイントやその方法が多様化し、接点を得られる機会が増えています。接点ごとの異なるニーズや課題を把握し、分析して自社の商品・サービスに反映することで、顧客満足度の向上につながります。

認知度を高める

顧客のニーズに合った商品・サービスを提供していても、ターゲット層に認知されなければ売り上げにつなげることはできません。タッチポイントを増やすことは、顕在顧客だけでなく、潜在顧客へのアピールにもつながります。

ブランドイメージの確立

タッチポイントの強化は、ブランディングにおいても有効です。顧客と接触する機会を増やすことで、他社との差別化、ファン層の獲得が期待できます。優良顧客の増加により、長期的な売り上げの確保につながるでしょう。

タッチポイントの設計方法とポイント

では、タッチポイントを効果的に活用するには、どうすればよいのでしょうか。基本的な設計方法となる6つのステップと、具体的なポイントについて解説します。

タッチポイントを設計する6つのステップ

タッチポイントを設計する基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 目標を設定する
    タッチポイントを設定する目的を定め、KPI(重要業績評価指標)に落とし込みながら目標設定を行います。ブランドの目指す方向性を明確にすることが大切です。
  2. ペルソナを設定する
    商品・サービスの対象となる具体的な人物像(ペルソナ)を設定します。年代や性別といった基本情報だけでなく、利用頻度の高いSNSやアプリ、配信サイトなどの媒体や、使用しているデバイス(スマートフォンやタブレットなど)も踏まえて設定しましょう。
  3. カスタマージャーニーマップを作成する
    設定したペルソナのカスタマージャーニーマップ(顧客が商品やサービスを購入するまでの行動や感情のプロセスをまとめたもの)を作成し、タッチポイントの設定可能な機会を分析します。
  4. タッチポイントまでのストーリーを検討する
    自社の商品・サービスを、どのようなタイミングで、どのようにペルソナに認知してもらいたいのか、タッチポイントまでの具体的なストーリーを考えます。
  5. タッチポイントを設定、管理する
    以上のステップを踏まえて、実際にタッチポイントを設定します。そして、実際の消費者の反応や行動をチェックするといった管理を行います。
  6. 結果を分析し、PDCAを回す
    情報収集後は、結果を分析しPDCAを回します。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のステップで、実施と改善のプロセスを指すマーケティング用語です。タッチポイントを設定したあとは、定期的に情報収集・分析・改善を行いながら、目標達成を目指します。

タッチポイント設計時のポイント

タッチポイント設計時のポイントは、3つあります。1つ目は、設計内容を「具体的に」「明確に」することです。

例えば、以下のような点で考えてみましょう。

  • ブランドまたは商品・サービスは誰を対象としているのか
  • どんなイメージを持ってもらいたいのか
  • ペルソナはどんな趣味や価値観を持っているか
  • どのようなタッチポイントが考えられるか

タッチポイントは、ペルソナが利用すると考えられるものを、できるだけ多く洗い出すことが大切です。例えばペルソナが利用するツールとして、大まかに「SNS」とまとめるのではなく、どのサービスなのか(Twitter、Instagram、LINE など)を決めておく必要があります。既存のタッチポイントに限定せず、さまざまなアプローチ方法を検討しましょう。

2つ目は、やみくもに数を増やさないということです。タッチポイントが多いほど良い結果につながる、というものでもありません。あまりにも多いと「しつこい」「アピールが過剰だ」などとネガティブな印象を持たれてしまいかねません。洗い出されたタッチポイントは、ストーリーをもとに優先順位をつけて、絞り込みを行いましょう。

最後に意識したいのが、上述したステップの6つめ、PCDAを回すことです。一度タッチポイントを設定したらそれで終わりではなく、分析・改善を繰り返し、より効果的なタッチポイントにアップデートすることで、目標達成につながります。

タッチポイントの設計の際には、ペルソナのあらゆる行動や感情をより具体的に想像するために、他部署とも協力して、複数人で意見を出し合いながら検討するとよいでしょう。

タッチポイントの事例

最後に、タッチポイントを強化することで成果を生み出している企業の事例を紹介します。

無印良品のデジタル戦略

無印良品は、「Webサイトで商品をチェックしてから実店舗で購入する」という行動をとる顧客が多いことに注目し、ネット会員に対して実店舗で使えるクーポンをメール配布するという“O2O(Online to Offline)”を、実践しています。

2013年には、スマホアプリの会員証「MUJI passport」をスタート。商品購入やサービス利用時に提示すると「マイル」がたまり、たまったマイルは代金の支払いに使えます。また、商品購入時だけでなく、商品の口コミを投稿したり、店舗にチェックインしたりするだけで、気軽にマイルがためられる仕組みになっています。

このアプリは現在、日本を含む8つの国や地域で展開されており、2021年8月末時点では、日本だけで2,400万ダウンロードを突破しています。

オンラインと実店舗の顧客を別々に考えるのではなく、2つのチャネルを行き来させることで、相乗効果を生み出している事例です。

ハーゲンダッツのSNS戦略

ハーゲンダッツは2013年、「あのフレーバーをもう一度“フレーバー復活選挙”」という、SNSを使ったキャンペーンを実施しました。過去に発売された24種類のミニカップのなかから、復活してほしいフレーバーに投票できるという企画です。2カ月間開催されたこのキャンペーンは、総数で約26万もの票を集めました。

その結果、1位に選ばれた「カスタードプディング」は実際に復活し、1位に投票した人のなかから抽選で1,000名のユーザーにプレゼントされたほか、商品としても期間限定で発売されました。SNSで顧客のニーズをうまく把握し、売り上げにつなげた事例です。

タッチポイントを強化して効果を高めよう

インターネットの普及により新しいタッチポイントが次々と生まれ、現在もその数は増え続けています。少し前までは考えられなかったSNSがタッチポイントの主流となりつつあるように、タッチポイントのトレンドは、今後も時代とともに変化していくでしょう。タッチポイントを強化することは、顧客満足度の向上や、自社の競争力強化にもつながります。さまざまなタッチポイントを組み合わせて、自社のマーケティング戦略に役立てましょう。

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